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されど1本、にしのぎを削る「ボールペン」市場

インクの色、種類(油性・水性・ゲル)、太さ等々、ボールペン売り場はまさに百花繚乱状態。

 そんな激戦区の中にあって、“消せるボールペン”としてセンセーショナルに登場し現在も売れ行きトップを持続しているのが、パイロットコーポレーションの「フリクション」シリーズです。2007年に発売され、累計2億本を販売したという、まさに業界の革命児。消える仕掛けは、1975年、温度変化で色が消えるというメタモインクの開発に成功したことに始まります。その後進化を重ね、2005年に誕生したのがフリクション(摩擦)インクという特殊なインクで、2006年にヨーロッパでフリクションボールを先行発売して爆発的なヒットを記録。そしてその翌年に日本で発売。実に30余年間の集大成商品というわけです。

 ペン後端部に付いている専用ラバーでこすると65℃以上の摩擦熱を生じてインクが消える仕組みです。実は、2001年に消しゴムで消せるペンの商品化に踏み切りましたが、消し残りが出るなどの問題がありヒットには至りませんでした。現在の「フリクション」は、消しカスも消し残りもほとんどなく、同じ箇所に書いて、消して、また書けるのが最大の特長です。

 消せるシリーズには、蛍光ペンや0.4mmの極細タイプ、24色の「いろえんぴつ」タイプのボールペンがラインナップされています。

 三菱鉛筆の人気ボールペンは「ユニボール シグノ」の極細シリーズで、0.38mm、0.28mmに続いて、なんと世界最小0.18mmという超極細ボールを実現しました。

 「シグノ」は他に、ラメ入りの輝くインクを使用した「スパークリング」や市販の消しゴムで消せる「イレイサブル」などバラエティに富んだラインナップ。

 ボールペン御三家のもう一社、ゼブラの売れ筋商品は、「サラサクリップ」。特徴は、全23色の豊富なカラーと、その名の通り可動式バインダークリップの採用で厚みのある手帳などにも挟みやすく折れにくいこと。

 ゼブラからは他に、インクにスイーツの甘い香りが付いていて女子中高生に人気の「ラフレーチェ」や、油性と水性の長所を併せ持ち、革新的に滑らかな書き味を実現する“エマルジョンインク”を世界で初めてボールペンに使用した「スラリ」がデビューして話題を集めています。

 経費削減の標的となる両横綱が接待費と事務備品関連費なら、さしずめ、ボールペンはその筆頭ではないでしょうか。

 2000年をピークにボールペンの市場規模も縮小し続けてきましたが、2007年ぐらいから回復基調が見られます。他の事務用品や筆記具の売れ行きが鈍るなか、ボールペンだけは好調だといいます。その背景には商品の付加価値を高め、消費者のニーズを掘り起こすべく各メーカーの開発努力があったからに他なりません。デザイン、持ち心地・書き心地、新たなインクの開発……私たちの購買意欲を掻き立ててくれるようなボールペンの存在は、IT化を超えて、手書きの魅力を再認識させてくれます。

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