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父の死亡後間もなくして母も死亡した場合の相続税の申告について

【質問】  父の死亡後、間もなく母も死亡し、母の死亡時には、父の遺産は未分割であった。母の死亡後に相続人である子供3人が父の遺産について分割協議を行い、母の取得分を零とする遺産の分割を行ったが、この場合、相続税の申告はどのようになるのか。

【回答】  母の死亡に係る相続税の申告期限までに、父の遺産についてまだ分割協議がなされていない場合には、父の遺産のうち、母の法定相続分2分の1に相当する部分は、母の遺産として相続税の課税価格に加算して申告する必要がある。
 しかし、母に固有の財産がなく、かつ、母の死亡に係る相続税の申告期限までに、父の遺産について母の取得分を零とする遺産の分割が行われているときは、子供は母の死亡に係る相続税の申告は要しない。

【関連情報】 《法令等》 相続税法27条2項

【解説】  相続によつて財産を取得して、相続税の申告書を提出すべき義務のある人が、その相続税の申告書の提出期限前にその申告書を提出しないで死亡した場合には、その人の相続人(後に死亡した人の相続人)は、その相続(第二次相続)の開始があつたことを知つた日の翌日から10か月以内に、その死亡した人に係る相続税の申告書を、所轄税務署長に提出しなければならないことになつている(相法27条2項)。
 したがつて、母が死亡するまでに、父の遺産について遺産分割が行われて、母が遺産を取得していたか、またはその遺産が未分割であつた場合には、母は父の死亡による相続(第一次相続)について相続税の納税義務を負うことになるので、母がその相続税の申告期限までに死亡したときは、その納税義務および申告義務は、第二次相続の相続人である子3人に承継され、その義務を履行しなければならないことになつている。この場合の相続税の申告期限は、第二次相続の開始があつたことを知つた日の翌日から10か月以内ということになつている。
 そして、母が父から相続によつて取得した財産(未分割の場合には、相続税法第55条の規定によつて相続により取得したものとされる財産を含む。)は、母の死亡によつて、子3人が再び相続することになるので、子3人は、その相続についても相続税の申告をしなければならないということになる。
 なお、この場合の第二次相続に係る相続税の計算については、第一次相続によつて母に課せられた相続税額のうち、一定の方法によつて計算した金額が、相次相続控除として控除されることになつている(相法20条)
 しかし、母が父の死亡による相続について、父の遺産を取得しない場合には(未分割の場合は除く。)、上記のように第一次相続に係る相続について母が相続税の納税義務を負うことはないので、この場合には、子3人が母の相続税の納税義務や申告義務を承継することがないことはいうまでもない。
 したがつて、質問の場合も、父の遺産について母の取得分を零とする協議分割を行い、しかも、母には固有の財産がなかつたというのであれば、母は無財産となるから、子は母の死亡に係る相続税についても申告の必要はないこととなる。

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