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《税制改正大綱》令和5年度税制改正大綱が閣議決定される

財務省は、令和5年度税制改正大綱が12月23日に閣議決定されたことを次のとおり公表しました。
(令和5年度税制改正大綱:前文)
家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげるため、NISAの抜本的拡充・恒久化を行うとともに、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化するための税制上の措置を講ずる。また、より公平で中立的な税制の実現に向け、極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置の導入、グローバル・ミニマム課税の導入及び資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築を行う。加えて、自動車重量税のエコカー減税や自動車税等の環境性能割等を見直す。租税特別措置については、それぞれの性質等に応じ適切な適用期限を設定する。具体的には、Ⅰのとおり税制改正を行うものとする。
また、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置について、Ⅱのとおり決定する。

 

なお、閣議決定された「令和5年度税制改正大綱」の主なポイントは下記のとおりです。
(詳細については、「財務省ホームページ(税制)」をご参照ください。)

 

【所得課税関係】
・金融・証券税制
〇 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)の見直し
非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次の措置を講ずる。
(1) 非課税累積投資契約に係る非課税措置(つみたてNISA)の勘定設定期間を令和5年12月31日までとする。
(2) 特定非課税累積投資契約に係る非課税措置について、次の措置に改組する
① 居住者等が、金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座に特定累積投資勘定(仮称)を設けた日以後に支払を受けるべき特定累積投資勘定(仮称)に係る株式投資信託(その受益権が金融商品取引所に上場等がされているもの又はその設定に係る受益権の募集が一定の公募により行われたものに限る。以下「公募等株式投資信託」という。)の配当等(当該金融商品取引業者等がその配当等の支払事務の取扱いをするものに限る。)については、所得税及び個人住民税を課さない。
② 居住者等が、金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座に特定累積投資勘定(仮称)を設けた日以後にその特定累積投資勘定(仮称)に係る公募等株式投資信託の受益権の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については、所得税及び個人住民税を課さない。また、当該公募等株式投資信託の受益権の譲渡等による損失金額は、所得税及び個人住民税に関する法令の規定の適用上、ないものとみなす。
③ 居住者等が、金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座に特定非課税管理勘定(仮称)を設けた日以後に支払を受けるべき特定非課税管理勘定(仮称)に係る上場株式等の配当等(当該金融商品取引業者等がその配当等の支払事務の取扱いをするものに限る。)については、所得税及び個人住民税を課さない。
④ 居住者等が、金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座に特定非課税管理勘定(仮称)を設けた日以後にその特定非課税管理勘定(仮称)に係る上場株式等の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については、所得税及び個人住民税を課さない。また、当該上場株式等の譲渡等による損失金額は、所得税及び個人住民税に関する法令の規定の適用上、ないものとみなす。
⑤ 特定非課税累積投資契約(仮称)とは、上記①から④までの非課税の適用を受けるために居住者等が金融商品取引業者等と締結した公募等株式投資信託の受益権の定期かつ継続的な方法による買付け等に関する契約で、その契約書において、次に掲げる事項が定められているものをいう。
イ 公募等株式投資信託の受益権の管理は、特定累積投資勘定(仮称)(当該契約に基づき非課税口座で管理される公募等株式投資信託の受益権の記録を他の取引に関する記録と区分して行うための勘定で、令和6年以後の各年に設けられるものをいう。)において行うこと。
ロ 当該特定累積投資勘定(仮称)は、原則として各年の1月1日において設けられること。
ハ 当該特定累積投資勘定(仮称)には、現行の累積投資勘定に受け入れることができる公募等株式投資信託の受益権のうち、次に掲げる公募等株式投資信託の受益権のみを受け入れること。
a その居住者等の非課税口座に特定累積投資勘定(仮称)が設けられた日から同日の属する年の12月31日までの間に当該金融商品取引業者等への買付けの委託等により取得した公募等株式投資信託の受益権で、当該期間内の取得対価の額の合計額が120万円を超えないもの(公募等株式投資信託の受益権を当該特定累積投資勘定(仮称)に受け入れた場合に、当該合計額、同年において特定非課税管理勘定(仮称)に受け入れている買付けの委託等により取得した特定上場株式等の取得対価の額の合計額及び特定累積投資勘定基準額(仮称)(特定累積投資勘定(仮称)及び特定非課税管理勘定(仮称)に前年に受け入れている上場株式等の購入の代価の額等をいう。以下同じ。)の合計額が1,800万円を超えることとなるときにおける当該公募等株式投資信託の受益権を除く。)
b その特定累積投資勘定(仮称)に係る公募等株式投資信託の受益権の分割等により取得する公募等株式投資信託の受益権
ニ 上場株式等の管理は、特定非課税管理勘定(仮称)(当該契約に基づき非課税口座で管理される上場株式等の記録を他の取引に関する記録と区分して行うための勘定で、特定累積投資勘定(仮称)と同時に設けられるものをいう。)において行うこと。
ホ 当該特定非課税管理勘定(仮称)には、次に掲げる上場株式等のみを受け入れること。
a その居住者等の非課税口座に特定非課税管理勘定(仮称)が設けられた日から同日の属する年の12月31日までの間に当該金融商品取引業者等への買付けの委託等により取得した特定上場株式等で、当該期間内の取得対価の額の合計額が240万円を超えないもの(特定上場株式等を当該特定非課税管理勘定(仮称)に受け入れた場合において、次に掲げる場合に該当することとなるときにおける当該特定上場株式等を除く。)
(a)当該合計額及び特定非課税管理勘定基準額(仮称)(特定非課税管理勘定(仮称)に前年に受け入れている上場株式等の購入の代価の額等をいう。)の合計額が1,200万円を超える場合
(b)当該期間内の取得対価の額の合計額、その年において特定累積投資勘定(仮称)に受け入れている買付けの委託等により取得した公募等株式投資信託の受益権の取得対価の額の合計額及び特定累積投資勘定基準額(仮称)の合計額が1,800万円を超える場合
(注)上記の「特定上場株式等」とは、その上場株式等を上場している取引所から整理銘柄として指定されているものその他の内閣総理大臣が財務大臣と協議して定めるもの及びその投資信託約款等において一定のデリバティブ取引に係る権利に対する投資として運用を行うこととされていることその他の内閣総理大臣が財務大臣と協議して定める事項が定められているものに該当しない上場株式等をいい、公募等株式投資信託にあっては、その投資信託約款において、信託契約期間を定めないこと又は20年以上の信託契約期間が定められていること及び収益の分配は1月以下の期間ごとに行わないこととされており、かつ、信託の計算期間ごとに行うこととされていることが定められているものに限る。
b その特定非課税管理勘定(仮称)に係る上場株式等の分割等により取得する上場株式等
へ 当該金融商品取引業者等は、現行の非課税累積投資契約に係る非課税措置の基準経過日における住所等の確認と同様に確認を行うこと。
ト その他一定の事項
⑥ 金融商品取引業者等から税務署長への非課税口座内上場株式等の購入の代価の額等その他の事項の一定のクラウドを利用した提供及び税務署長から金融商品取引業者等への非課税口座内上場株式等の購入の代価の額等の合計額その他の事項の提供について定めるほか、所要の措置を講ずる。

 

【資産課税】
〇 資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築
(1) 相続時精算課税制度の見直し
① 相続時精算課税で受けた贈与については、暦年課税の基礎控除とは別途、毎年、110万円まで課税しないとともに、当該控除をした後の残額を相続税の課税価格に加算する。
② 相続時精算課税で受贈した一定の土地・建物が、相続税の申告期限までに災害により一定の被害を受けた場合には、当該被害額を控除した残額を相続税の課税価格に加算する。
(2) 暦年課税における相続前贈与の加算
相続開始前贈与の加算期間を3年から7年に延長するとともに、延長した4年間に受けた贈与については、100万円を控除した残額を相続税の課税価格に加算する。
(注)(1)①及び(2)の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税や贈与税について、(1)②の改正は、令和6年1月1日以後に生ずる災害により被害を受ける場合について適用する。

 

〇 贈与税の非課税措置の期限延長等
(1) 教育資金の一括贈与に係る非課税措置
① 契約終了時の残高に贈与税が課される際の税率は、贈与税の一般税率とする。
② 契約期間中に贈与者が死亡した際、当該贈与者に係る相続税の課税価格の合計額が5億円を超える場合には、受贈者の年齢等に関わらず、残高は相続等により取得したものとみなす。
③ 適用期限を3年延長する
(2) 結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置
① 契約終了時の残高に贈与税が課される際の税率は、贈与税の一般税率とする。
② 適用期限を2年延長する。
(注)(1)及び(2)の改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る相続税や贈与税について適用する。

 

【法人課税関係】
〇 試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)の見直し
(1) 一般試験研究費の額に係る税額控除制度の改正
一般試験研究費の額に係る税額控除制度の税額控除率を次のとおり見直し、その下限を1%(現行:2%)に引き下げた上、その上限を14%(原則:10%)とする特例に見直した上、適用期限を3年延長する。
(イ)増減試験研究費割合が12%超  11.5%+(増減試験研究費割合-12%)×0.375
(ロ)増減試験研究費割合が12%以下 11.5%-(12%-増減試験研究費割合)×0.25
なお、令和5年4月1日から令和8年3月31日までの間に開始する各事業年度の控除税額の上限について、増減試験研究費割合が4%を超える部分1%当たり当期の法人税額の0.625%(5%を上限とする。)を加算し、増減試験研究費割合がマイナス4%を下回る部分1%当たり当期の法人税額の0.625%(5%を上限とする。)を減算する特例を設ける。
このほか、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除率の特例及び控除税額の上限の上乗せ特例は適用期限を3年延長し、基準年度比売上金額減少割合が2%以上等の場合における控除税額の上限の上乗せ特例は、適用期限の到来をもって廃止する。
(2) 中小企業技術基盤強化税制の改正
増減試験研究費割合が9.4%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が12%を超える場合に改正した上、税額控除率(12%)に増減試験研究費割合から12%を控除した割合に0.375を乗じて計算した割合を加算するほか、控除税額の上限に当期の法人税額の10%を上乗せする特例に見直し、適用期限を3年延長する。
このほか、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除率の特例及び控除税額の上限の上乗せ特例は適用期限を3年延長し、基準年度比売上金額減少割合が2%以上等の場合における控除税額の上限の上乗せ特例は、適用期限の到来をもって廃止する。
〇 その他の主な租税特別措置の改正
(1) 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限を2年延長する。
(2) 中小企業投資促進税制について、対象資産から、コインランドリー業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する機械装置でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外するほか、総トン数500トン以上の船舶にあっては、環境への負荷の低減に資する設備の設置状況等を国土交通大臣に届け出た船舶に限定する見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
(3) 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(中小企業経営強化税制)について、特定経営力向上設備等の対象からコインランドリー業又は暗号資産マイニング業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する資産でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外した上、その適用期限を2年延長する。
(4) デジタルトランスフォーメーション投資促進税制について、生産性の向上又は新需要の開拓に関する要件を売上高が10%以上増加することが見込まれること等の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
(5) 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、既成市街地等の内から外への買換えを適用対象から除外する等の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
【国際課税関係】
・新たな国際課税ルール(グローバル・ミニマム課税)への対応
令和3年10月のOECD/G20において新たな国際課税ルールの「市場国への新たな課税権の配分(第1の柱)」と「グローバル・ミニマム課税(第2の柱)」が国際合意された。このうち「第2の柱」(グローバル・ミニマム課税)については、外国に所在する法人等の所得を基に課税する仕組みであるIIR(所得合算ルール)及びUTPR(軽課税所得ルール)があり、令和5年度税制改正では、IIR(所得合算ルール)の法制化を行う。これ以外については、国際的議論を踏まえ令和6年度税制改正以降の法制化を検討する。
〇 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)及び特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の創設等
特定多国籍企業グループ等に属する内国法人に対する法人税及び地方法人税を新たに設ける。
これは、軽課税国に所在する子会社等の税負担が国際的に合意された最低税率(15%)に至るまで親会社所在地国において課税を行う制度であり、親会社が内国法人である場合、最低税率を下回る軽課税国における最低税率での課税を確保するため、親会社所在地国(日本)において、親会社に対して軽課税国子会社の税負担が最低税率に至るまで課税する仕組みである。
そして、適用対象を年間総収入金額が7.5億ユーロ(約1,000億円)以上の多国籍企業とするなどの制度に必要な規定を定める。
なお、税額の計算は、次のとおりである。
各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の額(特定基準法人税額)
各対象会計年度の国際最低課税額(課税標準)×100分の90.7(税率)
特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の額
各課税対象会計年度の特定基準法人税額(課税標準)×907分の93(税率)
この制度は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用される。
【消費税関係】
〇 適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る納税額の負担軽減等(2割特例)
① 適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者が適格請求書発行事業者となったこと又は課税事業者選択届出書を提出したことにより事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる場合には、その課税期間における課税標準額に対する消費税額から控除する金額は、当該課税標準額に対する消費税額に8割を乗じた額とすることにより、納付税額を当該課税標準額に対する消費税額の2割とすることができることとする。
(注1)上記の措置は、課税期間の特例の適用を受ける課税期間及び令和5年10月1日前から課税事業者選択届出書の提出により引き続き事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる同日の属する課税期間については、適用しない。
(注2)課税事業者選択届出書を提出したことにより令和5年10月1日の属する課税期間から事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる適格請求書発行事業者が、当該課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出したときは、当該課税期間からその課税事業者選択届出は効力を失うこととする。
② 適格請求書発行事業者が上記①の適用を受けようとする場合には、確定申告書にその旨を付記するものとする。
③ 上記①の適用を受けた適格請求書発行事業者が、当該適用を受けた課税期間の翌課税期間中に、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を納税地を所轄する税務署長に提出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を認めることとする。
〇 仕入税額控除の適格請求書保存要件の緩和(少額特例)
基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存による仕入税額控除を認める経過措置を講ずる。
〇 適格返還請求書の交付義務の緩和
売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務を免除する。
(注)上記の改正は、令和5年10月1日以後の課税資産の譲渡等につき行った売上げに係る対価の返還等について適用する。
〇 適格請求書発行事業者登録制度の見直し
① 免税事業者が適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、課税期間の初日から登録を受けようとする場合には、当該課税期間の初日から起算して15日前の日(現行:当該課税期間の初日の前日から起算して1月前の日)までに登録申請書を提出しなければならないこととする。この場合において、当該課税期間の初日後に登録がされたときは、同日に登録を受けたものとみなす。
② 適格請求書発行事業者が登録の取消しを求める届出書を提出し、その提出があった課税期間の翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合には、当該翌課税期間の初日から起算して15日前の日(現行:提出があった課税期間の末日から起算して30日前の日)までに届出書を提出しなければならないこととする。
③ 適格請求書発行事業者の登録等に関する経過措置の適用により、令和5年10月1日後に適格請求書発行事業者の登録を受けようとする免税事業者は、その登録申請書に、提出する日から15日を経過する日以後の日を登録希望日として記載するものとする。この場合において、当該登録希望日後に登録がされたときは、当該登録希望日に登録を受けたものとみなす。
(注)上記の改正の趣旨等を踏まえ、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、その申請期限後に提出する登録申請書に記載する困難な事情については、運用上、記載がなくとも改めて求めないものとする。
〇 外国人旅行者向け消費税免税制度における即時徴収対象者の見直し
外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、免税購入された物品の税務署長の承認を受けない譲渡又は譲受けがされた場合には、当該物品を譲り受けた者に対して譲り渡した者と連帯してその免除された消費税を納付する義務を課すこととするほか、所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和5年5月1日以後に行われる課税資産の譲渡等に係る税務署長の承認を受けない譲渡又は譲受けについて適用する。

 

【地方税関係】
○ 車体課税(自動車税・軽自動車税)
(1) 環境性能割の税率区分の見直し
・ 新型コロナウイルス感染症等を背景とした半導体不足等の状況を踏まえ、異例の措置として、現行の税率区分を令和5年12月末まで据え置く。
・ 2035年電動車100%(乗用車新車販売)とする政府目標と整合させ、電動車の一層の普及促進を図る観点から、税率区分(燃費基準達成度)を3年間で段階的に引き上げる。
(注)次の税率区分の見直しは3年後(令和8年度改正)とする。
(2) グリーン化特例
・ 電気自動車等を取得した場合における現行の軽課措置(翌年度の種別割▲75%軽減)等について、適用期限を3年延長する。
(3) 燃費・排ガス不正行為への対応
・ 不正により生じた納付不足額に係る納税義務を当該不正を行ったメーカーに負わせる特例規定について、税制上の再発抑止策を強化するため、納付不足額を徴収する際に加算する割合(現行:10%)を35%に引き上げる。
(4) 先進安全技術を搭載したトラック・バスに係る特例措置について、歩行者検知機能付き衝突被害軽減ブレーキを対象装置に追加した上、適用期限を2年延長(自動車税環境性能割)する。
〇 個人住民税
・ NISA制度について、年間投資上限額の拡大、非課税保有期間の無期限化、口座開設期間の恒久化等を行う。
〇 固定資産税・都市計画税
・ 中小事業者等の生産性向上や賃上げの促進に資する機械・装置等の償却資産の導入に係る特例措置を創設する(固定資産税)
・ 長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに係る税額の減額措置を創設する(固定資産税)。
・ バス事業者が路線の維持に取り組みつつEVバスを導入する場合における変電・充電設備等に係る課税標準の特例措置を創設する(固定資産税、都市計画税)。
【納税環境の整備】
〇 電子帳簿等保存制度の見直し
(1) 優良な電子帳簿の範囲の明確化
国税関係帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の対象となる申告所得税及び法人税に係る優良な電子帳簿の範囲を次のとおりとする。
① 仕訳帳
② 総勘定元帳
③ 次に掲げる事項(申告所得税にあっては、ニの事項を除く。)の記載に係る帳簿
イ 手形(融通手形を除く。)上の債権債務に関する事項
ロ 売掛金(未収加工料その他売掛金と同様の性質を有するものを含む。)その他債権に関する事項(当座預金の預入れ及び引出しに関する事項を除く。)
ハ 買掛金(未払加工料その他買掛金と同様の性質を有するものを含む。)その他債務に関する事項
ニ 有価証券(商品であるものを除く。)に関する事項
ホ 減価償却資産に関する事項
へ 繰延資産に関する事項
ト 売上げ(加工その他の役務の給付その他売上げと同様の性質を有するもの等を含む。)その他収入に関する事項
チ 仕入れその他経費又は費用(法人税に係る優良な電子帳簿にあっては、賃金、給料手当、法定福利費及び厚生費を除く。)に関する事項
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用する。
(2) 国税関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し
① 国税関係書類をスキャナで読み取った際の解像度、階調及び大きさに関する情報の保存要件を廃止する。
② 国税関係書類に係る記録事項の入力者等に関する情報の確認要件を廃止する。
③ 相互関連性要件について、国税関係書類に関連する国税関係帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認することができるようにしておくこととされる書類を、契約書・領収書等の重要書類に限定する。
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に保存が行われる国税関係書類について適用する。
(3) 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度の見直し
① 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件について、次の措置を講ずる。
イ 国税庁等の当該職員の質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には検索要件の全てを不要とする措置について、対象者を次のとおりとする。
(イ)その判定期間における売上高が5,000万円以下(現行:1,000万円以下)である保存義務者
(ロ)その電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている保存義務者
ロ 電磁的記録の保存を行う者等に関する情報の確認要件を廃止する。
② 電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由がある保存義務者に対する猶予措置として、申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録のダウンロードの求め及び当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする。
③ 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録について適用する。
〇 ふるさと納税における前指定対象期間に係る基準不適合等への対応
ふるさと納税の地方公共団体の指定の取消しについて、前の指定対象期間における基準不適合等の事案に対応できるよう、2年前にまで遡って取消事由とすることを可能とする。
〇 固定資産税及び不動産取得税に係る質問検査権の対象の明確化
固定資産税及び不動産取得税に係る質問検査権について、家屋の評価に必要な図面等の収集に当たり、納税義務者に加え、当該家屋の施工業者からも図面等を入手することができることを法令上明確化する。
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