麺類大好き民族の私たちに、デフレも追い風となって、いまワンコイン(500円)でおなかが満たされる「セルフ式うどん店」が街で勢いを増しています。
お店に入ると、まず「ぶっかけ」「釜玉」などと、うどんの種類とサイズを注文します。茹で上がったうどんを受け取ってお盆に乗せてから、天ぷら・おにぎりなどのコーナーへ進み、自分でお好みのものを取って備え付けの小皿に乗せ、そこでお会計を済ませます。薬味、水などは店内に用意されているのでご自由に。食べ終えたら食器類を返却口まで戻す—-これが平均的なセルフ式うどん店の一連の流れです。
このように、どの店も、メニュー(10〜20種類前後)も、店内のつくりも、オーダー方式も似たりよったりであるが故に、各社は価格設定や立地、メニュー内容などで少しでも他店と差別化しようと懸命です。
現在、大手といわれるのは、トリドール(神戸)の「丸亀製麺」と、はなまる(東京)の「はなまるうどん」の2社。
2000年に加古川店からスタートした最大手の「丸亀製麺」は、ショッピングセンター内を中心に郊外のロードサイドなどに出店攻勢をかけ、2009年11月に業界で初めて300店舗を突破しました(2009年12月現在、313店舗)。“売り”は、全店に設置された製麺機で国産の小麦だけを使用して打った自家製の麺です。さらに、調理の実演が見えるオープンキッチンの採用で、食欲を演出。サイドメニューの販促効果も抜群とか。打ちたて・茹でたて・できたての“3たて”にあふれる店内です。
一方、「はなまるうどん」の特徴は、常時17種類前後というメニューの豊富さと、「かけ(小)」105円から「温玉牛肉ぶっかけ(大)」659円までという価格帯の幅広さです。
他に、フジオフードシステム(大阪/東京)が「つるまる饂飩」と「鶴丸製麺」を、グルメ杵屋(大阪)も「麦まる」と「きねや」の2本柱で展開。
店内製麺が特徴のライフフーズ(大阪)経営の「讃岐製麺」や大手外食チェーン、家族亭(大阪)が手がける「とくとく」は小型店のフランチャイズ方式で多店舗展開中。一方、まだ3店舗と、2009年10月に参入したばかりの三光マーケティングフーズ(東京)の「楽釜製麺所」は、居酒屋経営で培ったノウハウを活かして新宿など都心の駅前立地を中心に店舗拡大を図ります。
低価格で客の年齢や性別を選ばない「セルフ式うどん店」ですが、増えているとはいえ、現在の総店舗数は今回紹介した7社を合わせても650余店にとどまり、売上高はそば市場を含んだ全体の10%前後にすぎません。つまり、伸びしろは十分過ぎるほど残されているということです。ここ数年のうちに、新規参入をはじめとする出店拡大が急速に進むことは間違いなさそうです。