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20年前の粉飾による売掛債権の貸倒れの処理について

【質問】  

建設業を営む甲社は、20年前に利益を計上する必要があり、

乙会社に対する売上げを5000万円架空計上しました。

その後売掛債権5000万円はそのまま残っていました。

乙会社とはその後一度も取引はありませんが、

この売掛債権について貸倒損失により処理したいのですが

損金処理ができるでしょうか。

【回答】  

ご質問の売掛債権は、架空計上のものですから、

貸倒損失として処理することはできないものと考えます。

仮装経理に基づく過大申告について税務署長が更正をしたときは、

当該更正により減少する部分の金額で仮装経理した金額に係るものは、

当該更正の日の属する事業年度開始の日から

5年以内に開始する事業年度の法人税の額から

順次控除することとされています(法70条1項)が、

本件については、税務署長が更正できる期間が過ぎているため、

税務署長に減額更正を求めても減額の更正はできません(国通70条2項)。

したがって、会計処理上は当該売掛債権について

前期損益修正損等の科目で特別損失の処理ができますが、

その場合申告書別表4において加算することになり

税務上は損金の額に算入することはできません。

なお、除斥期間の取扱いに関する判例として、

(1)平元・4・13最高裁第一小法廷(昭63(行ツ)第18号)判決

「過去の事業年度における過大申告分は現事業年度の損金としては認められないとされた事例」、

(2)昭59・4・25裁決「粉飾決算の修正に伴う既往事業年度の確定申告額の減額更正について除斥期間の

特例の適用要件に該当する事実は認められないとされた事例」等がありますので、参考としてください。

【関連情報】
《法令等》 法人税法22条3項
法人税法70条
国税通則法70条2項

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