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資本参加を持ちかけられたときの注意すべき点とは?

Q1
 懇意にしている得意先から資本参加を持ちかけられた。基本的には受けたいと思っていますが、注意すべき点を教えてください

A1
 新聞誌上で毎日のように報じられているM&Aは、従来のような大企業がおこなう大規模なものだけでなく、最近では中堅・中小企業にもM&Aが浸透、増加しています。

 そんな流れのなか、魅力的な中堅・中小企業があれば、取引先などから「貴社と資本提携したい」という提案を受けるケースも増えてきました。

 資本を受け入れる側にとっても、商圏の拡大や商品の共同開発など、自社の経営資源だけで会社を伸ばしていくのではなく、他社と補完しあえる関係を構築することによってよりビジネスチャンスが広がるメリットがあります。

 一方で、他社から資本を受け入れて株主になってもらうということは、経営に一定の参加権を与えることになるため、どの程度の出資比率とするかには注意が必要です。

 株主は、原則として所有する株式の割合に応じて株主総会で議決権を行使できます。

 議決権とは、株主総会に出席して、役員の選出や経営方針などに対して決議する株主の権利のことで一株につき一票の議決権が割り当てられているのが普通です。

 一定割合以上の議決権を保有する株主には、「少数株主権」という権利が会社法上認められています。「少数株主権」とは、議決権が一定割合以上の株主が、大株主や経営陣の行動の監督是正を諮るため、経営に一定の参与を行うことのできる権利です。そのため、資本参加を受け入れる場合には、この議決権の割合に注意する必要があります。

 少数株主権に基づく請求が行われたとき、株主総会においてその決議が可決されるかどうかは議決権の割合がかかわってきます。議決権の過半数を握れば株主総会の普通決議を可決することができ、議決権の3分の2以上を握れば特別決議を可決することができます。裏を返せば3分の1以上の議決権を保有する株主には特別決議を否決する権利が生じます。

 少数株主権のひとつである帳簿閲覧権が行使されると、内部情報が漏れてしまう可能性があり、事業展開に悪影響を受けるおそれがあります。また、自社経営陣において議決権の過半数を確保できていない場合には、他の株主が団結してマジョリティを形成し、株主総会の意思決定を行うことができてしまうことにも注意が必要です。たとえば、社長の持ち株比率が過半数を下回っている場合には、ある少数株主が他の株主と共同戦線を張って社長を解任することも可能となります。

 さらに3分の1超の出資比率があれば定款変更決議を阻止できるようになるため、資本提携先との関係がこじれたりしていると、引越しや社名変更もできないといった事態に陥ることも考えられます。

 以上のとおり、他社からの資本を受け入れる場合には、(1)どの程度の出資比率を与えるか、(2)事業的なシナジーがあるか、(3)相手企業と長期にわたって良好な関係を維持できるか、といった点について注意する必要があるといえます。

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