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《税務質疑応答》年末調整(配偶者が勤務先から受給した休業手当の取扱い)

代表ブログ,税務質疑応答 | 2020年12月21日 月曜日 13:12

Q. 
 私は会社勤めをしている者です。

 年末調整の時期となり、会社から年末調整用紙が配布されたのですが、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」欄の記載にあたり、妻がパート勤務先から受給した「休業手当」を収入金額や所得金額に含めるべきかどうかについて教えてください。

 なお、妻の勤務先からの説明によると、妻が受給したその休業手当は、「労働基準法上の休業手当」として支払われたものとのことです。

A.
[回答]
 ご相談の休業手当の受給額は、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」欄の記載において、収入金額等に含めていただく必要があるものと考えられます。

[解説]
1.配偶者控除制度の概要
 所得税法上、納税者が「控除対象配偶者(※1)」を有する場合には、その納税者のその年分の所得金額に応じて、13万円から48万円までの控除を受けることができます。
※1 控除対象配偶者とは、所得金額が1,000万円以下の納税者の同一生計配偶者(所得金額が48万円以下の配偶者)をいいます。

なお、所得金額48万円以下の配偶者とは、配偶者のその年の収入が給与収入のみである場合には、(給与の)年収103万円以下の配偶者を指すこととなります。
※2 配偶者控除の適用が受けられないときでも、一定の要件を満たす場合には、納税者本人について1万円から38万円までの所得控除を受けるという制度が別で設けられています。こちらの控除は、配偶者特別控除といいます。

2.年末調整で、配偶者控除を受けるための手続き
 給与所得者が年末調整で配偶者控除(もしくは配偶者特別控除)の適用を受けるためには、次の手続きを行う必要があります。
①会社等に、その年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していること
②会社等に、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、「給与所得者の配偶者控除等申告書(※3)」を提出していること

 上記②の「給与所得者の配偶者控除等申告書」には、配偶者の本年中の給与収入の見積金額等を記載することとなります。
※3 給与所得者の配偶者控除等申告書は、年末調整の申告書のうち、「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」と記載された申告書に含まれています。

3.労働基準法上の休業手当と、配偶者控除の関係
 労働基準法では、使用者(会社)の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は(会社)、休業期間中、その労働者(従業員)に平均賃金の60%以上の手当(休業手当)を支払わなければならないと定められています。
 所得税法上、労働基準法上の休業手当(※4)については、所得税法上の非課税所得には該当せず、給与所得として所得税が課税されることとされています。
 今回のご相談の場合、奥様が受給された休業手当は、労働基準法上の休業手当として支払われたものとのことですので、所得税法上の非課税所得には該当せず、所得税が課税されるものと考えられます。
 したがって、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の収入金額等には、その休業手当の金額も含めて記載していただく必要があることとなります。
※4 労働基準法の休業手当は、労働基準法上の「災害補償」の規定にもとづくもの(休業補償)とは異なります。休業手当と災害補償では、所得税法上の取扱いも異なりますので、ご注意ください。

[参考]
所法2、9、28、83、190、195の2、所令20、労働基準法26、75、76、国税庁「年末調整Q&A」など

《税務質疑応答》新型コロナウイルス感染症の影響により受給する雇用調整助成金と法人税について

代表ブログ,税務質疑応答 | 2020年10月19日 月曜日 11:10

Q. 
私は飲食店を運営する会社を経営しています。

当社は、このたびの新型コロナウイルス感染症の影響により休業を余儀なくされたため、従業員を全員休ませ、労働基準法にしたがって休業手当を支給しています。

この休業手当の支給について、厚生労働省の「雇用調整助成金」を受給するための手続きを現在進めていますが、この雇用調整助成金を受給した場合、その助成金額は法人税法上どのように取り扱われるのでしょうか。

A.
 ご相談の助成金については、法人税法上の益金に算入され、法人税の課税対象となります。

[解説]
1.雇用調整助成金の概要
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響を含めた経済上の理由等により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主が、労使間の協定に基づいて一時的に休業(※1)等を行い、休業手当(※2)を支払って労働者の
雇用を維持した場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。

※1 雇用調整助成金における「休業」とは、所定労働日に従業員を休ませることをいい、単に事業所が営業を休むことだけでは休業には該当しないとされています。

※2 休業手当とは、労働基準法上の休業手当をいいます。このため、休業期間中の休業手当の額が、労働基準法に定める平均賃金の60%を下回っていた場合は、雇用調整助成金は支給されません。

2.雇用調整助成金の、法人税法上の取扱い

 法人税法上、法人(会社)の各事業年度の所得の金額の計算上(法人税の計算上)、その事業年度の益金(収入)の額に算入すべき金額は、原則として、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で、資本等取引(※3)以外のものに係るその事業年度の収益の額とするものと定められています。

 今回のご相談の雇用調整助成金は上記の「資本等取引」には該当しないことから、その助成金額は法人税法上の益金の額に算入され、法人税の課税対象となります。
※3 資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引や法人が行う利益や剰余金の分配等をいいます。

[参考]
 法法22、厚生労働省「雇用調整助成金FAQ」など

《税務質疑応答》新型コロナウイルスによる業績悪化を受けての役員報酬減額改訂と法人税について

Q. 
 私は楽器レンタル業を営む会社(9月決算)を経営しています。

 このたびの新型コロナウイルス感染症の影響により、3月以降の各種演奏会が軒並み中止・延期となった結果、3月の売上高は前年同月比で70%も減少し、今後さらにこの減少傾向が続くことが見込まれています。

 このままでは会社が存続できないため、臨時株主総会の決議を経たうえで私の役員報酬を急きょ50%減額したのですが、この場合、減額前・減額後それぞれの役員報酬支給額は、法人税法上の損金となるのでしょうか。

A.
 ご相談の場合、減額改定前の各支給時期における支給額と、減額改定後の各支給時期における支給額がそれぞれ同額であることを前提としますと、各支給時期に支給された役員報酬は、法人税法上の損金に算入できるものと考えられます。

[解説]
1.法人税法上の役員給与の、基本的な考え方
 法人税法上、法人が役員に対して支給する報酬(退職給与等を除きます)で、「定期同額給与」(支給時期が1ヶ月以下の一定の期間ごとである給与で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものをいいます)等に該当しないものについては、その法人の損金(会社の経費)の額には算入できないことと定められています。

 また、役員報酬は、原則としてその事業年度開始から3ヶ月以内に決定・改定されたものでなければならないとも定められています。

2.「業績悪化改定事由」に該当した場合の取扱い
 上記1.以外の原則的な改定以外にも、会社の経営状況が著しく悪化(「業績悪化改定事由」に該当)したために事業年度途中で役員報酬を減額改定した場合、その減額改定前の各支給時期における支給額と、減額改定後の各支給時期における役員報酬の支給額がそれぞれ同額であれば、改定前・改定後それぞれの役員報酬支給額は上記1.の定期同額給与として損金に算入できることとされています。
 新型コロナウイルス感染症の影響により売上高が大きく減少した結果、やむを得ず役員報酬を減額せざるを得ない事情が発生したという今回のご相談の内容は、業績悪化改定事由に該当するものと考えられます。

 したがって、減額改定前の各支給時期における支給額と、減額改定後の各支給時期における役員報酬の支給額がそれぞれ同額であれば、ともに損金に算入できるものと考えられます。
 新型コロナウイルス感染症が経営環境に与える悪影響は、当初の想像を遥かに超えるレベルまで進展してきています。会計事務所は、中小企業の皆様の経営や資金繰りを専門家として支えるパートナーですので、このような厳しいときにこそ、ぜひご相談をいただき、一緒にこの難局に立ち向かわせていただければと思います。

[参考]
 法法34、法令69、法基通9-2-13、国税庁「役員給与に関するQ&A」など

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