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役員の分掌変更に伴い支給した退職金の取扱いについて

【件名】 役員の分掌変更に伴い支給した退職金の取扱いについて

【質問】  同族会社である当社の代表取締役甲は、この度の株主総会において、老齢により代表取締役を退任し非常勤の取締役となり、役員報酬も半額に減額しました。ただ、老齢ですが非常に健康で、また、創業者で大株主(発行済み株式の60%を所有)でもありますので役員会には出席し、経営上の重要な案件については積極的に発言もしております。
 会社の業績も好調ですので、分掌変更等による役員退職金を支給したいと思いますが、退職給与として損金の額に算入することが認められるでしょうか。

【回答】  役員退職金は、本来退職という事実に起因して支給する給与額をいいますので、あくまで退職した役員に対し、業務に従事した期間、退職の事情等に照らし、相当と認められる金額が税法上の役員退職金として損金算入されます。
 しかし、実際に退職していない場合でも、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあるときは、その支給した金額は退職給与として取り扱うことが相当であるので、その金額が過大でない限り損金算入が認められています。
 従って、たとえ形式上、分掌変更等があったとしても、実質的にその法人の経営上主要な地位を占めている場合には、退職と同様の事情にあるとは言えないことになります。これは同族会社等において、単なる役員の肩書きの変更等により、適当に退職金を支給するといった悪用等を排除するためです。
 ご質問の事例では、甲氏は分掌変更後もオーナー株主として役員会に出席し、経営上の重要な案件については積極的に発言していることから、「代表権はないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者」に該当すると考えられますので退職給与として損金の額に算入することは認められないことになります。

【関連情報】
《法令等》
法人税法34条
法人税法施行令70条
法人税基本通達9-2-32

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