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自己株式の取得で税務上、気をつける点は?

【質問】
 当社では、相対取引により、当社の株式を時価により買い入れることにしました。その場合の税務上の処理はどのようになりますか。

【回答】
 税務上、法人が自己株式を取得等した場合には、有価証券として資産に計上せず、取得等をした株式に対応する資本金等の額(取得資本金額)を、取得等の時に資本金等の額から減算することとされています。
 また、自己株式の取得の対価の額が取得資本金額を上回る場合には、その差額は利益積立金額から控除することとしています。そして、この、減少する利益積立金額に相当する額は、「みなし配当の額」となります。
 なお、自己株式の取得によりみなし配当が発生するのは、ご質問のケースのように、売り手と買い手の特定ができる、相対取引による場合や公開買い付けによる場合であり、証券市場から自己株式を取得する場合はみなし配当は発生せず、取得の対価に相当する金額が資本金等の金額から減算されることになります。
 ところで、自己株式を取得した場合の企業会計上の処理は、自己株式の取得価額をもって資本の部の控除項目とするとされており、自己株式を取得してもそれが消却されるまでは企業会計上の「その他資本剰余金」は減少しません。従って、税務上の取り扱いとの差異を申告調整する必要があります。具体的には、いくつかの方法が考えられますが、例えば、別表五(一)「I利益積立金額の計算に関する明細書」については、当期の増減の増欄において自己株式の会計上の帳簿価額の総額をマイナス表示し、この総額からみなし配当となる金額を差引いた残りの資本金等の額の減算する金額を当期の増減の増欄に記載します。また同時に、この資本金等の減額分は別表五(一)「II資本金等の額の計算に関する明細書」の当期の増減の増欄にマイナス表示のうえ記載することとなると考えられます。
 なお、留保所得金額を正しく計算するために、みなし配当金額を別表四の当期利益の額の流出「配当」欄に記載することになります。

【関連情報】
《法令等》
 法人税法2条16号
法人税法2条18号
法人税法24条1項4号
法人税法施行令8条1項20号
法人税法施行令9条1項8号
法人税法施行令23条3項
自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準7項
自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準8項

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