得意先倒産への備えは万全ですか?
-中小企業倒産防止共済の非課税の掛金を800万円に引き上げ
Q1.先日、知人の経営者から「得意先が倒産して連鎖倒産を覚悟したが、
中小企業倒産防止共済制度の貸付を利用して何とか切り抜けられた」
という話を聞きました。
この中小企業倒産防止共済の掛け金は、会社の経費にできるそうですね。
A1.そもそも中小企業倒産防止共済制度とは、取引先が倒産した場合に、
積み立てた掛け金総額の10倍を限度として、無利子・無担保・無保証人で
貸付が受けられ、連鎖倒産を防止するというものです。
その掛け金は、全額、会社の損金(費用)などにでき税金はかかりません。
なお、その掛け金月額等が拡大され、貸付限度額も大きくなっています。
また小規模企業共済制度も拡充されています。
(1)中小企業倒産防止共済の貸付拡充
①私的整理の場合も貸付が受けられる
これまで貸付が受けられなかった私的整理について、弁護士等からの書面による
「支払停止通知」があった場合に共済金の貸付が受けられます。
平成22年7月1日以降に施行されます。
*私的整理とは、法的手続きによらず債権者と債務者の自主的協議により、
倒産処理を図る手続きです。
②貸付限度額が8,000万円に引き上げられる
積み立てる掛け金と共済金の貸付限度額が次のように引き上げられます。
なお、貸付限度額の引き上げに伴って、償還期間上限が10年(従前5年)に
引き上げられます。
平成23年10月までに実施される予定です。
〔掛け金等の引き上げ〕
(従前)掛金月額:5千円〜8万円
掛金総額:320万円が上限
貸付限度額:3,200万円
(改正後)掛金月額:5千円〜20万円
掛金総額:800万円が上限
貸付限度額:8,000万円
③一定の完済者には、手当金が支給される
月々の返済を延滞せず繰り上げて返済した完済者には、
繰り上げ時期と繰り上げ額によって決められる手当金(早期償還手当金)が
支給されます。
平成23年10月までに実施される予定です。
(2)小規模企業共済に共同経営者も加入できる
小規模企業共済制度とは、個人事業主が掛金を積み立てて、
廃業や引退に備える、いわゆる個人事業主の退職金制度といえるものです。
その掛金は、全額所得控除の対象となり税金はかからず、受け取る共済金も
退職所得控除等の対象となります。
変更点は以下のとおりです。
①共同経営者である後継者なども加入できる
これまで個人事業主だけが加入できましたが、共同経営者であれば配偶者や
後継者といった親族のみならず親族以外の人も加入できるようになりました。
平成23年1月1日に施行されます。