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【企業共済】 「中小企業退職金共済制度」の改正ポイント


 平成23年1月から「中小企業退職金共済制度」が改正されたと聞きました。主な改正点を教えてください。


 中小企業退職金共済制度とは、昭和34年に国の中小企業対策の一環として制定された、中小企業退職金共済法に基づき独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する、中小企業の従業員のための退職金制度です。この中退共制度の改正があり、平成23年1月1日から「事業主と生計を一にする同居の親族」の加入が可能となりました。

 初めに、この中退共制度について簡単におさらいをしておきます。まず、制度に加入可能な企業は左表(〔『戦略経営者』2011年3月号24頁〕)の業種ごとの常用従業員数または資本金・出資金の額の範囲内である中小企業です。

 次に、加入企業は原則として従業員全員を加入(包括加入)させることとなっています。しかし、定年退職間近な方、休職期間中や期間を定めて雇用している方等は加入させなくてもよいことになっています。

 また、従業員ごとに決定する掛金は5000円から3万円までの16種類に加え、2000円、3000円、4000円の短時間労働者用特例掛金も用意されています。ちなみに掛金は、契約成立後、事業主が全額負担します(従業員に一部でも負担させてはいけません)。

 なお、掛金については法人企業は損金・個人企業は必要経費として全額非課税となる特典があり、さらに新規加入企業および1万8000円以下の掛金月額を増額する企業の掛金の一部について国からの助成を受けられるメリットもあります。その他にも、ポータビリティの観点から、企業間あるいは他の制度との「通算制度」も設けられています。

 そして、掛金は中退共において運用され、従業員が退職した際には当該従業員の請求に基づき、法律で定められた利回りによる退職金が中退共から従業員の口座に直接振り込まれる仕組みになっています。独自に退職金制度をもつことが困難な中小企業にとっては、管理が簡単かつ従業員施策に大変有益な制度といえます。

加入者範囲の見直し

 近年の厳しい雇用・経済情勢の下で、中小企業を取り巻く環境が悪化し、退職後の従業員の生活保障の重要性が改めて認識されています。これを受けて平成23年1月1日から、同居の親族のみを雇用する事業主に雇用される者であっても、使用従属関係が認められる者については、中退共制度の「従業員」として加入を認める改正法が実施されました。ここで重要なポイントは、これまで中退共制度に加入出来なかった同居の親族のみで経営される個人事業者の配偶者や親族などが加入する道がやっとできたことです。

 ただし事業主は、「使用従属関係」を確認する書類を加入時、加入中および退職時に中退共に提出する必要があります。また、掛金助成(新規加入助成および月額変更助成)の対象外であること、退職事由は「傷病、高齢、その他従業員自身の都合によらない」事由であることが必要で、退職後は原則として再度同一の事業所に同居の親族としての加入はできませんので、ご留意ください。

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