質疑応答事例(所得税関係)の更新について   

国税庁は、このほど、平成24年7月1日現在の法令・通達等に基づく質疑応答事例を更新し、公表しました。

  今回は、次のとおり、新たに所得税関係の9事例が追加掲載されていますので、その概要を紹
 介します。

  なお、この質疑応答事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも
 事案の全部を表現したものではありませんので、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する
 場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生じることがありますのでご留意願います。

 
 【所得税関係】

  1.確定給付企業年金の給付減額に伴い支給される一時金
    確定給付企業年金の給付減額に伴い支給される一時金は退職所得として取り扱われます。
 

  2.適格退職年金制度廃止後に継続している退職年金契約
    適格退職年金制度廃止後に継続している退職年金契約(法人税法附則第20条第4項ただ
   し書に規定する一定の閉鎖型の適格退職年金契約には該当しないものです。)に基づき、
   (1)会社が支出する保険料、(2)退職一時金、(3)退職年金については、所得税法上
   (1)については給与所得に係る収入金額に含まれ、(2)については一時所得、(3)に
   ついては公的年金等以外の雑所得にそれぞれ該当します。

 
  3.資本的支出の取得価額の特例

    平成19年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得した減価償却資産で定率法
   を採用しているもの(以下「旧減価償却資産」といいます。)について、平成24年4月1
   日以後に資本的支出を行った場合、旧減価償却資産については250%定率法により、資本
   的支出部分については200%定率法によりそれぞれ別に減価償却費の計算を行います。

 
  4.生命保険料控除関係

  (1)旧生命保険料と新生命保険料の支払がある場合の生命保険料控除額
     本年中の新生命保険料の支払額が4万円、旧生命保険料の支払額が10万円ある場合
    (これらの以外に生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料の支払はありません。)、
    生命保険料控除額は5万円となります。

  (2)1枚の生命保険料控除証明書に旧生命保険料と新生命保険料の記載がある場合
     1枚の生命保険料控除証明書に旧生命保険料と新生命保険料の記載がある場合、新生命
    保険料と旧生命保険料に係る控除のいずれを適用するか又はその両方の支払について適用
    するか、納税者はいずれか有利な方を選択することができます。
     したがって、生命保険料控除証明書に新生命保険料の額と旧生命保険料の額の両方が記
    載されている場合であっても、旧生命保険料の部分だけを控除の対象としても特に問題は
    ありません。

  (3)生命保険料控除の限度額計算
     生命保険料控除の限度額計算については、例えば、新生命保険料に係る控除額が3万円、
    旧生命保険料に係る控除額が5万円、介護医療保険料控除額が2万5千円、新個人年金保
    険料に係る控除額が3万円、旧個人年金保険料に係る控除額が5万円となる場合、一般の
    生命保険料控除額については旧生命保険料に係る控除額5万円、個人年金保険料控除額に
    ついては旧個人年金保険料に係る控除額5万円とし、これらと介護医療保険料控除額2万
    5千円の合計額によることができます。ただし、12万円が限度となります。

  (4)がん保険の保険料
     がん保険の保険料は、生命保険料控除の対象となります。

  (5)傷害特約付生命保険契約の特約の更新
     平成23年12月31日以前に締結した傷害特約(身体の傷害に基因して保険金を支払
    うもの)付生命保険契約について、平成24年1月1日以後に傷害特約のみを同様の契約
    内容で更新した場合、更新後に支払う保険料は、主契約に係る部分の保険料についてのみ
    生命保険料控除の対象となります。

  (6)事業主負担の保険料等の生命保険料控除の適用
     事業主が、これまで生命保険会社と適格退職年金契約(法人税法附則第20条第4項た
    だし書に規定する一定の閉鎖型の適格退職年金契約には該当しないものです。)を締結し、
    これに基づき退職一時金及び退職年金の支給を行っており、平成24年3月31日をもっ
    て適格退職年金制度が廃止された後も解約等を行わずに退職年金契約として継続している
    場合において、この退職年金契約に基づいて事業主が支出する保険料が使用人に対する給
    与等として課税対象とされた場合には、その使用人の生命保険料控除の対象となります。
 

なお、この詳細については、国税庁ホームページ>税について調べる>質疑応答事例>所得税
目次一覧から該当文書をご参照ください。
 
 【所得税関係】
  (各種所得の区分と計算)
    No.24 確定給付企業年金の給付減額に伴い支給される一時金
    No.25 適格退職年金制度廃止後に継続している退職年金契約
  (必要経費)
    No.18 資本的支出の取得価額の特例
  (所得控除)
    No.61 旧生命保険料と新生命保険料の支払がある場合の生命保険料控除額
    No.62 1枚の生命保険料控除証明書に旧生命保険料と新生命保険料の記載がある場合
    No.63 生命保険料控除の限度額計算
    No.64 がん保険の保険料
    No.65 傷害特約付生命保険契約の特約の更新
    No.66 事業主負担の保険料等の生命保険料控除の適用

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