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【企業共済】 「中小企業倒産防止共済」の改正ポイント

代表ブログ,企業共済 | 2011年12月8日 木曜日 12:12

Q.
 中小企業の連鎖倒産防止に大きな効果がある「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)制度」が、平成23年10月より、さらに拡充されたと聞きました。詳細を教えてください.

A.
 中小企業倒産防止共済は、平成23年10月に大幅な制度改正が実施され、中小企業が連鎖倒産のリスクを回避する手段としてはたいへん有効な仕組みとなっています。

 この制度は、中小企業の取引先事業者が倒産し売掛金債権等が回収困難になった場合に、その「売掛金債権等の額」または積み立てた「掛金総額の10倍に相当する額」のいずれか少ない額までが必ず融資(=「共済金貸付」)されることにより急場の資金を手当てして、中小企業の連鎖倒産を防止する制度です。制度に加入した企業は、原則として毎月一定の掛金を積み立てて取引先倒産時の借入枠を上記の通り確保する一方、掛金を40カ月以上納付済みなら任意解約でも納付済み掛金の全額が返戻(=「解約手当金」)されるという、いわば無料の連鎖倒産リスク対策です。さらに、毎月の掛金納付時は当該掛金の全額を「事業所得の必要経費(個人事業)」または「損金(法人)」とすることができる、大きな税制上のメリットも備えています。

 共済金貸付を受ける際は、倒産した取引先事業者との商取引の内容・方法がわかる書類の提出が必要になります。共済金貸付を受けた際は、当該貸付額の10分の1に相当する積立済み掛金の権利が消滅します(完済後に任意解約した場合、例え掛金を40カ月以上納付していても同額分だけ差し引かれて返戻される仕組み)。なお解約手当金は雑収入となります。

掛金月額は最高20万円共済金貸付は最大8000万円に
 それでは、同制度がどのように改正拡充されたのでしょうか。上表(『戦略経営者』2011年12月号29頁表参照)および以下をご覧ください。

1.掛金月額の上限が8万円から20万円に
 掛金は、全額を必要経費・損金に算入可能ですから、リスク対策と同時に掛金納付年度に大きな節税が可能です。

2.掛金の積立限度額が800万円に
 掛金月額の最高額の40カ月分が積立限度額です。

3.共済金貸付の限度額が8000万円に
 積立済み掛金総額の10倍が限度ですから8000万円が限度額となり、非常に強力な連鎖倒産対策が可能です。なお、これは1件または複数の共済金貸付の合計限度額です。

4.共済金貸付の償還期限が延長
 従来の一律5年返済から、共済金貸付の額により最長7年まで貸付期間が延長されました。

5.その他
 所定の償還期限より12カ月以上早期の繰上完済等を条件に「早期償還手当金」が支給される仕組みや、今年3月の東日本大震災をうけて災害時に共済金貸付を利用できる仕組みの追加等が実施されて、より企業のセーフティーネットとしての有効性が向上しました。
 また、今回の制度改正により、新規加入申込および既存契約者の掛金の増額・前納(掛金上限の引き上げにより申込増加が予想されます)等の手続きも大きく変更されています。

「小規模企業共済制度」の改正ポイント

代表ブログ,企業共済 | 2011年6月6日 月曜日 13:06


 平成23年1月から「小規模企業共済制度」が改正されたそうですが、主な改正ポイントを教えてください。


 小規模企業共済制度とは、中小企業基盤整備機構が小規模企業共済法に基づき運営する、小規模個人事業主や会社等の役員のための退職金積立制度です。ご質問のとおり平成23年1月1日から制度が大きく改正されました。

 本稿では、改正事項のうちまだ制度に加入されていない方や、これまで加入したくても加入できなかった方のために、「加入資格の拡大」についてご説明します。

 その前に、この制度について簡単におさらいをしておきます。この制度に加入できるのは、商業・サービス業では従業員が5人以下、その他の業種では従業員20人以下の個人事業主・会社等の役員です。加入後は毎月掛金を積み立て、将来個人事業を廃業した時や会社等の解散・役員退任時にまとまった共済金(退職金)を受け取る仕組みになっています。

 制度のメリットは、掛金全額が所得控除になることです。このメリットは非常に大きく、たとえば課税所得600万円の人が月額掛金の最高額7万円を1年間納付した場合、単純計算で所得税が27万7200円安くなります。したがって、実質的に7万円×12ヵ月-27万7200円=56万2800円の負担で、84万円の退職金を毎年準備できることになります。

 また、廃業や会社等の解散・退任による共済金請求時は、運用益を原資とする一定額を積立金に加算のうえ共済金が支給されます。更にこの場合、共済金が税法上の退職所得扱いになるなど税制上のメリットがあり、事業主や役員等の退職金制度を自前で持つことが困難な小規模企業者にとっては非常に魅力的な制度といえます。

加入資格の拡大

 しかしながら、小規模企業者が置かれた現状はどうでしょうか。厳しい経営環境や後継者難などが将来の不安となっています。特に個人事業者においてこの傾向が強く、それが事業者数の減少となって現れています。そうしたことを背景に、小規模個人事業主に安心して事業に専念していただけるように、制度が改正されました。

 改正事項のなかで最も重要なのは、個人事業主の配偶者や後継者など、従来この制度に加入できなかった方たちが「共同経営者」として加入できるようになった点です。ここでいう共同経営者とは、事業主との間で「共同して個人事業を経営する契約(書)を締結し、かつ当該個人事業から報酬を得ている者」とされています。青色事業専従者であるかどうかは問われませんが、当該事業が前記の従業員数以内であることが前提となります。上記の加入資格を満たせば、1個人事業者について2名の共同経営者が新たにこの制度に加入でき、大きな税制上のメリットを受けることが可能になりました。

 ただし、共同経営者の加入には注意すべき点もあります。それは、個人事業主の廃業等の場合に共済金を請求したり、事業を継いで個人事業主となった場合に共済契約の継続は可能なものの、死亡・疾病又は負傷によらずに共同経営者でなくなった場合(独立・のれん分け等を含む)は解約扱いになることです。解約手当金は積立額を下回ることがありますので、注意が必要です。

【企業共済】 「中小企業退職金共済制度」の改正ポイント


 平成23年1月から「中小企業退職金共済制度」が改正されたと聞きました。主な改正点を教えてください。


 中小企業退職金共済制度とは、昭和34年に国の中小企業対策の一環として制定された、中小企業退職金共済法に基づき独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する、中小企業の従業員のための退職金制度です。この中退共制度の改正があり、平成23年1月1日から「事業主と生計を一にする同居の親族」の加入が可能となりました。

 初めに、この中退共制度について簡単におさらいをしておきます。まず、制度に加入可能な企業は左表(〔『戦略経営者』2011年3月号24頁〕)の業種ごとの常用従業員数または資本金・出資金の額の範囲内である中小企業です。

 次に、加入企業は原則として従業員全員を加入(包括加入)させることとなっています。しかし、定年退職間近な方、休職期間中や期間を定めて雇用している方等は加入させなくてもよいことになっています。

 また、従業員ごとに決定する掛金は5000円から3万円までの16種類に加え、2000円、3000円、4000円の短時間労働者用特例掛金も用意されています。ちなみに掛金は、契約成立後、事業主が全額負担します(従業員に一部でも負担させてはいけません)。

 なお、掛金については法人企業は損金・個人企業は必要経費として全額非課税となる特典があり、さらに新規加入企業および1万8000円以下の掛金月額を増額する企業の掛金の一部について国からの助成を受けられるメリットもあります。その他にも、ポータビリティの観点から、企業間あるいは他の制度との「通算制度」も設けられています。

 そして、掛金は中退共において運用され、従業員が退職した際には当該従業員の請求に基づき、法律で定められた利回りによる退職金が中退共から従業員の口座に直接振り込まれる仕組みになっています。独自に退職金制度をもつことが困難な中小企業にとっては、管理が簡単かつ従業員施策に大変有益な制度といえます。

加入者範囲の見直し

 近年の厳しい雇用・経済情勢の下で、中小企業を取り巻く環境が悪化し、退職後の従業員の生活保障の重要性が改めて認識されています。これを受けて平成23年1月1日から、同居の親族のみを雇用する事業主に雇用される者であっても、使用従属関係が認められる者については、中退共制度の「従業員」として加入を認める改正法が実施されました。ここで重要なポイントは、これまで中退共制度に加入出来なかった同居の親族のみで経営される個人事業者の配偶者や親族などが加入する道がやっとできたことです。

 ただし事業主は、「使用従属関係」を確認する書類を加入時、加入中および退職時に中退共に提出する必要があります。また、掛金助成(新規加入助成および月額変更助成)の対象外であること、退職事由は「傷病、高齢、その他従業員自身の都合によらない」事由であることが必要で、退職後は原則として再度同一の事業所に同居の親族としての加入はできませんので、ご留意ください。

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