当社は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として従業員のテレワークを実施しておりますが、その影響で本社ビルの一部が遊休状態となったことから、その部分を倉庫(トランクルーム)として貸し出すこととなりました。
そこでお聞きしたいのですが、倉庫の賃貸借契約書を書面で作成した場合、その契約書は印紙税の課税対象となるのでしょうか。
[回答]
ご相談の倉庫賃貸借契約書については、印紙税は課税されません。
[解説]
印紙税法上、印紙税額一覧表に掲げられている文書には、原則として、印紙税が課税されることと定められています。
この「印紙税額一覧表」を確認すると、まず、地上権または土地の賃貸借契約書は、表中に記載がある(第1号の2文書に該当する)ことから、印紙税の課税文書となることがお分かりいただけるかと思います。
一方で、建物や施設・物品などの賃貸借契約書については、印紙税額一覧表に記載がされていないことから、印紙税は課税されません(不課税文書)。
したがって、今回のご相談の倉庫賃貸借契約書についても、倉庫という施設の賃貸借契約書であることから、印紙税は課税されないこととなります。
(注意点)
貸しビル業者などが、ビルなどの賃貸借契約またはその予約契約を締結する際などに、そのビルなどの賃借人から建設協力金または保証金などの名目で一定の金銭を受け取り、そのビルなどの賃貸借期間に関係なく一定期間据置き後、一括返還または分割返還することを約する場合があります。
このような、契約期間が終了していないのに一定期間経過後に返還することとしたものは、一定の債務を担保するという目的を達することができないことから、保証金という名目ではあっても、その実質は金銭の借用(消費貸借契約)であると印紙税法上は判断されます。
したがって、上記のような建設協力金または保証金などの取り決めがある建物の賃貸借契約書は、印紙税の課税文書(印紙税額一覧表の第1号の3文書「消費貸借に関する契約書」)に該当することとなりますのでご注意ください。
[参考]
印法2、印法別表第一第1号文書の2、印基通別表第一第1号の3文書の7など
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