1.中小企業の軽減延長と雇用促進税制の創設
平成23年1月に国会に提出された平成23年税制改正法案は、与野党対立に大震災の影響も
加わって審議ストップが続きました。
しかし、そのような中、平成23年6月22日、平成23年度の新税制改正が成立しました。
これは、平成23年税制改正法案のうち一部を抽出して新たな法律としたものです。
なお、この新法に取り込まれなかった税制抜本改革の一環を為す法人課税や個人所得課税、
資産課税などは継続審議となっています。
(1)中小法人等の法人税の軽減税率の延長
中小法人の所得金額のうち年800万円以下の部分に適用される軽減税率が、
従来どおり18%のまま延長されました。
*適用・・・平成24年3月31日までの間に終了する事業年度に適用されます。
〔中小法人の所得金額〕 年800万円以下→18%、年800万円超→30%
(2)雇用促進税制の創設
青色申告書を提出する事業者が、従業員を増やした場合、その増加人数に応じて法人税などが
減税される制度が創設されました(所得税についても同様)。
〔減税を受けるには?〕
以下の要件を満たす必要があります。
・当期および前期に離職者がいないこと
・事業年度中に従業員(雇用保険一般被保険者)が前事業年度末に比して10%以上かつ2名以上
(中小企業者等の場合)増加したことなど
〔減税額は?〕
公共職業安定所に「雇用促進計画」を提出し、雇用が確認されれば、
増やした従業員(雇用保険一般被保険者)1人当り20万円(中小企業者等の場合、
法人税額の20%が限度)が法人税額から控除できます。
*適用・・・平成24年4月1日から同26年3月31日までの間に開始する事業年度に適用されます。
(3)環境関連投資促進税制の新設
青色申告書を提出する事業者が、平成23年6月30日から同26年3月31日までの間に、
エネルギー環境負荷低減推進設備の取得等をして、取得等をした日から1年以内に事業用として
使った場合、中小企業者等について特別償却または特別税額控除が出来ます。
○中小企業者等の場合
選択適用、取得価額の30%特別償却 あるいは 取得価額の7%特別税額控除(法人税額の20%限度)
(4)法人税の中間申告制度の改正
次の場合には仮決算による中間申告書を提出できないこととなりました。
イ.「前事業年度の確定法人税額×6/12」の金額が10万円以下である場合またはその金額が無い場合
ロ.仮決算による中間申告書に記載すべき法人税額が、「前事業年度の確定法人税額×6/12」を超える場合
*適用・・・平成24年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。