公開日: 2022年08月23日

譲渡所得計算における、5%取得費と相続税額の取得費加算の併用

 


[相談]

2年前に相続により取得した土地を売却しました。先祖代々の土地で購入価格が不明なので、取得費は売却代金の5%(概算取得費)とする予定です。この土地を相続するときに相続税を納付しているので、相続税額の取得費加算を適用したいのですが、概算取得費を適用していても可能でしょうか?

[回答]

 概算取得費を適用する場合でも、相続税額の取得費加算を適用することは可能です。

[解説]

1.概算取得費

 個人が土地や建物を売った場合は、所得税(譲渡所得)が課税されます。

 この場合の譲渡所得の金額は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引き、さらに特例があればその特例の金額を控除した金額となります。

 売った金額から控除する取得費とは、たとえばご相談のような土地の場合には、原則、買ったときの購入代金の他、購入手数料や整地代などを含めた合計額となりますが、ご相談のように先祖代々の土地で取得費が分からないような場合には、売った金額の5%相当額を取得費とすることができます。これを「概算取得費」といいます。

2.相続税額の取得費加算

 相続又は遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を一定期間内(※)に売って、譲渡所得として計算する場合に、その売った財産について相続税を納付していたときには、その相続税額のうち一定の金額を譲渡所得の取得費に加算することができます。これを「相続税額の取得費加算」といいます。

※ その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売っていること。

 この場合の加算することができる取得費とは、原則的に計算した取得費の他、概算取得費により計算した取得費も含まれます。

 したがって今回のご相談の場合、譲渡所得の計算上、概算取得費により計算した取得費に、相続税額の取得費加算により計算した金額を加算することができます。

[参考]
所法38①、措法31の4①、措通31の4-1、国税庁タックスアンサー「No.3258 取得費が分からないとき」「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」など

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