公開日: 2022年04月24日

報酬の支払額が100万円を超える場合に控除すべき源泉所得税額の計算方法

 

[相談]

私は会社で経理を担当しています。
 当社は建設工事業を営んでおりますが、このたび、外注先の建築士(個人事業主)に建築物の設計・工事監理を行ってもらったことに対する報酬2件分をまとめて支払う(※)こととなりました。
 そこでお聞きしたいのですが、今回支払う報酬から控除すべき源泉所得税額はいくらになるのでしょうか。教えてください。
 なお、当社は、報酬額から控除すべき源泉所得税額の計算にあたって、外注先が発行した請求書等において報酬・料金等の額と消費税額が明確に区分されていることを前提とし、その税抜金額のみを源泉徴収の対象として、納付すべき源泉所得税額を計算しています。

(※)報酬金額の明細(消費税抜き):
1件目 3,200,000円
2件目 1,200,000円
支払計 4,400,000円

[回答]

 ご相談の場合、控除すべき源泉所得税額は796,380円になるものと考えられます。詳細は、下記解説をご参照ください。

[解説]

1.建築士への支払報酬に対する所得税の源泉徴収制度の概要

 所得税法上、国内において個人の建築士に対し、その建築士が建築物の設計、工事監理等の業務を行ったこと等に対して報酬や料金等の支払をする者は、原則としてその支払の際、その報酬料金等について所得税(および復興特別所得税)を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、その徴収した所得税(源泉所得税)を国に納付しなければならないと定められています。

2.徴収税額の計算方法

 この場合に徴収する税額は、原則、報酬料金等に対して10.21%の税率(復興特別所得税分を含む。以下同じ。)を乗じて計算した金額となります。
 ただし、同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、その超える部分の金額については、20.42%の税率を乗じて計算した金額を徴収することとなります。

 なお、このときの「同一人に対し1回に支払われる金額」とは、原則として、同一人に対し1回に支払われるべき金額をいうものとして取り扱われていますが、上記の税率を乗ずべき金額の判定にあたっては、現実に1回に支払われる金額によって差し支えないこととされています。

 以上より、今回のご相談の場合において控除すべき源泉所得税額の計算は、下記のとおりとなると考えられます。

① 1,000,000円×10.21%=102,100円
②(4,400,000円-1,000,000円)×20.42%=694,280円
③ ①+②=796,380円

[参考]
所法204、205、所基通205-1、国税庁「令和4年版 源泉徴収のあらまし」など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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