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個人で所有する貴金属の売却についての所得税の課税関係


[相談]

 私は会社勤務をしている者です。
 諸般の事情から家財の整理を行うこととなり、個人で所有し日常的に身に着けている貴金属について、その一部を売却することとなりました。
 それらの貴金属の価額はいずれも1個あたり20万円程度ですが、この貴金属の売却について所得税は課税されるでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談の貴金属の売却については、所得税は課税されないものと考えられます。

[解説]

1.物品の譲渡と所得税の関係

 所得税法上、資産の売却(譲渡)により生じた所得は「譲渡所得」とされ、譲渡所得に対しては、原則として所得税が課税されると定められています。

 その譲渡所得の対象となる資産には、土地、借地権、建物、株式等、金地金、宝石、書画、骨とう、船舶、機械器具、漁業権、取引慣行のある借家権、配偶者居住権、配偶者敷地利用権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)など様々な種類の資産が含まれます。

2.所得税が非課税とされる譲渡所得

 上記1.の原則的な取扱いに対して、譲渡所得であっても、所得税が非課税となる場合が所得税法では定められています。

 具体的には、自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、什器、衣服その他の資産で一定のもの(生活用動産といいます)の譲渡による譲渡所得については、所得税は課税されないと定められています。

 ただし、上記の生活用動産からは、次のものは除かれています。

① 1個又は1組の価額が30万円を超える、貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、琥珀製品、ぞうげ製品並びに七宝製品

② 1個又は1組の価額が30万円を超える、書画、骨とう及び美術工芸品

 したがって、今回のご相談の場合、売却予定の貴金属の価額はいずれも1個あたり20万円程度とのことであり、30万円を超えないことから、それらの売却による所得については、所得税は課税されないものと考えられます。

[参考]
所法9、33、所令25など

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