公開日: 2022年11月29日

ソフトウェア受託開発業の消費税簡易課税制度上の事業区分と内外判定


[相談]

 私は、個人でソフトウェアの受託開発業を営んでいます。
 この受託開発ソフトウェアの売上について、消費税簡易課税制度上の事業区分は、第何種事業になるのでしょうか。
 また、私は上記のソフトウェアの開発業務の一部をインドの企業に委託しており、その成果物はインターネットを介して受領していますが、その取引は、消費税法上の国外取引という認識で合っているでしょうか。教えてください。

[回答]

 ソフトウェア受託開発業の売上の消費税簡易課税制度上の事業区分は、第5種事業に該当します。
 また、ご相談の場合のインド企業へのソフトウェア開発委託は、消費税法上の国外取引に該当するものと考えられます。

[解説]

1.消費税簡易課税制度の概要

 消費税の簡易課税制度とは、消費税法上の課税売上高と、事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められたみなし仕入率を用いて、納付すべき消費税額の計算を簡便的に行うことができるという制度です。

 この制度の適用を受けるためには、原則として、その年(もしくはその事業年度)の前々年(もしくは前々事業年度)の消費税課税売上高が5,000万円以下であり、かつ、その年(もしくは事業年度)の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することが必要です。

 なお、消費税簡易課税制度を適用するときの事業区分は、第1種事業から第6種事業まで6種あり、みなし仕入率はそれぞれの事業区分ごとに90%から40%まで10%刻みで定められています。

2.ソフトウェア受託開発業の消費税簡易課税制度上の事業区分

 今回のご相談の受託開発ソフトウェア業は、「日本標準産業分類」において「情報通信業(大分類G)、情報サービス業(中分類39)」に区分されています。

 日本標準産業分類の大分類の区分で「情報通信業」に該当する事業は、消費税簡易課税制度上は運輸業、金融業、保険業などとともに「サービス業等」として「第5種事業」に該当することとされています。

 したがって、今回のご相談の受託開発ソフトウェアの売上の消費税簡易課税制度上の事業区分は、第5種事業(みなし仕入率50%)に該当することとなります。

3.外国企業に委託したソフトウェア開発業務の消費税法上の課税関係

 消費税法では、国内において、事業者が事業として対価を得て行った資産の譲渡、貸付、役務の提供(「資産の譲渡等」といいます)には、原則として、消費税を課税すると定められています。

 上記の「資産の譲渡等」が国内において行われたかどうかの判定は、消費税法に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものと定められていますが、資産の譲渡等が役務の提供である場合には、原則として、「その役務の提供が行われた場所」で判定すると定められています。

 したがって、今回のご相談のインド企業へのソフトウェア開発委託は、役務の提供が行われた場所が日本国外であることから、消費税法上は国外取引に該当(※)することとなり、我が国の消費税は課税されない(課税対象外)ものと考えられます。

(※)取引が、「電気利用通信役務の提供(インターネット等を介して行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウェアの配信など)」に該当する場合には、消費税法上の国内取引に該当するかどうかの判定は、「その電気通信利用役務の提供を受ける者の住所等」で行うことと定められていますが、今回のご相談のソフトウェア開発のように、著作物の制作を国外事業者に依頼し、その成果物の受領や制作過程の指示を、インターネット等を介して行う場合のその取引は、著作物の制作という他の資産の譲渡等に付随してインターネット等が利用されているものですので、電気通信利用役務の提供には該当しないこととされています。

[参考]
消法2、4、37、消基通5-8-3、13-2-4、国税庁「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A」(平成28年12月改訂)など

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