年末に行ったふるさと納税返礼品に係る経済的利益の収入計上時期
[相談]
私は毎年ふるさと納税を行っていますが、昨年は仕事等で時間に余裕がなかったため、寄附を行うのが年末になってしまいました。
そのため、そのふるさと納税に係る返礼品は今年1月に受け取ることになりました。
この場合、この返礼品に係る経済的利益の所得税法上の収入計上時期は、いつになるのでしょうか。
[回答]
ご相談の場合、ふるさと納税返礼品に係る経済的利益の所得税法上の収入計上時期は、今年となります。
[解説]
1.ふるさと納税を行った場合の効果
ふるさと納税を行った場合、その寄附金額のうち自己負担額2,000円を除いた全額が所得税(復興特別所得税を含みます)及び個人住民税から控除(寄附金控除もしくは寄附金税額控除)されることとなります(※1)。
上記の寄附金控除等を受けるためには、原則として、ふるさと納税を行った年の翌年の3月15日までに、所轄税務署へ確定申告を行う必要があります(※2)。
※1 全額控除されるふるさと納税額には年間の上限額があり、その上限額を超えた金額については、全額控除の対象とはなりません。
※2 確定申告をする必要のない給与所得者等がふるさと納税を行う場合には、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」により、確定申告を行わなくても寄附金控除を受けられる場合があります。
2.ふるさと納税返礼品に係る経済的利益の所得税法上の取扱い
ふるさと納税を行うと、多くの場合、寄附先の地方自治体からその地方の特産品などの返礼品を受け取ることができます(なお、総務省によれば、この返礼品の返礼割合は、3割以下とすることとされています)。
その返礼品受け取りについての所得税法上の取扱いは、①ふるさと納税の返礼品を受け取ったことによる経済的利益は、所得税法上の非課税所得とされるものには該当しないこと、②法律上、地方公共団体は法人とされていること、以上の理由から「一時所得」に該当することとされています。
この「一時所得」の金額は、次のように計算します。
※3 「一時所得を得るために支出した金額」には、ふるさと納税額は含まれません。
なお、一時所得は、原則的にはその所得金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して、最終的に納める所得税額を計算することとなります(総合課税)。
3.ふるさと納税返礼品に係る経済的利益の収入計上時期
上記2.のとおり、ふるさと納税の返礼品に係る経済的利益は一時所得に該当することとなりますが、所得税法上、一時所得の収入すべき時期は、原則として、その支払を受けた日によるものとされています。
したがって、今回のご相談の場合、年末に行ったふるさと納税の返礼品に係る経済的利益の収入計上時期は、その返礼品を実際に受け取る年、すなわち今回のケースであれば、ふるさと納税を行った年の翌年である「今年」となります。
なお、上記2.で述べた一時所得の計算式のとおり、一時所得の計算については50万円の控除があるため、今年において他の一時所得(生命保険の一時金など)がなく、多額のふるさと納税返礼品の受け取りがなければ、ただちにふるさと納税返礼品に係る経済的利益について一時所得が発生する可能性は低いものと考えられます。
[参考]
所法9、34、36、78、地方税法37の2、所基通36-13、総務省ふるさと納税ポータルサイトなど
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