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介護施設に入所している老人扶養親族が同居老親等に該当するかどうか

[相談]

 私(給与所得者)には、高齢の母(80歳)がおります。
 母は、以前は私たち家族と同居していましたが、高齢のため介護が必要な状態となったことから、今年初めから介護施設に入所しています。ただし、母の収入は公的年金(年間80万円程度)のみのため、施設の毎月の居住費など、母の生活費の大部分は私が負担しています。
 このような場合、母は私の所得税法上の扶養親族(控除対象扶養親族)となるのでしょうか。控除対象扶養親族となる場合、所得税法上の同居老親等にも該当するのかどうかについてもお聞きしたいです。

[回答]

 ご相談の場合、お母様はご相談者の所得税法上の控除対象扶養親族(老人扶養親族)に該当しますが、同居老親等には該当しません。

[解説]

1.所得税法上の扶養親族の定義

 所得税法上の「扶養親族」とは、原則として、納税者の親族でその納税者と生計を一にする人(※)のうち、合計所得金額が48万円以下である人をいいます。

※「生計を一にする」とは、必ずしも納税者と同居していることは必要なく、例えば、別居している親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、これらの親族は生計を一にしているものとして取り扱われます。

2.所得税法上の控除対象扶養親族と老人扶養親族の定義

 所得税法上の控除対象扶養親族とは、上記1.の扶養親族のうち、年齢16歳以上の居住者や、一定の非居住者をいうものと定められています。
 また、上記の控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人を「老人扶養親族」といいます。
 なお、老人扶養親族について控除を受けられる扶養控除の金額は、老人扶養親族1人につき48万円です。

3.同居老親等に係る扶養控除の特例

 所得税法上、納税者の上記2.の老人扶養親族がその納税者又はその納税者の配偶者の直系尊属(父母・祖父母・曽祖父母など)で、かつ、その納税者又はその配偶者のいずれかとの「同居」を常況としている場合には、その老人扶養親族に係る扶養控除の金額は、通常の金額(48万円)に金額に10万円を加算した金額(58万円)とすると定められています。

 このため、老人扶養親族が同居老親等に該当する場合には、扶養控除として58万円の所得控除を受けられることとなります。

4.老人扶養親族が介護施設等に入所している場合の同居老親等の規定の適用可否

 国税庁によれば、上記3.の「同居」については、病気の治療のための長期入院の場合には同居に該当することとされていますが、今回のご相談の場合のように、老人扶養親族が介護施設などへ入所している場合には、その介護施設等が居所となり、同居しているとはいえないとされています。

 したがって、今回のご相談の場合、ご相談者のお母様はご相談者の老人扶養親族には該当するものの、同居老親等には該当しないこととなります。この場合にご相談者が受けられる扶養控除の金額は、48万円になるものと考えられます。

[参考]
所法2、84、措法41の16、所基通2-47、国税庁所得税質疑応答事例など

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