公開日: 2023年04月25日

海外出向者と住民税

[相談]

 私は日本国内の会社に勤務しているサラリーマンですが、このたび、3年間の予定で海外子会社に出向することとなりました。
 出国予定日は、令和5年(2023年)5月1日です。
 この場合、私に対する令和5年度分・令和6年度分の住民税(市県民税)の課税関係はどのようになるのでしょうか。

[回答]

 ご相談の場合、令和5年度分の住民税(市県民税)については納税義務がありますが、令和6年度分の住民税(市県民税)の納税義務はないものと考えられます。

[解説]

1.個人に対する住民税の課税制度の概要

 地方税法において、個人の住民税(市県民税)は、賦課期日(その年度の初日の属する年の1月1日)において市町村内に住所(生活の本拠)を有する個人に対し、前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を課税標準として算定された所得割額と一定額の均等割額との合算額により課すると定められています。

 このため、今回のご相談の場合は、令和5年1月1日時点において日本国内に住所(生活の本拠)を有することから、(令和4年の所得等を課税標準とする)令和5年度分の住民税(市県民税)については納税義務があることなります。

 一方で、(令和5年の所得等を課税標準とする)令和6年度分の住民税(市県民税)については、令和6年1月1日時点において日本国内に住所(生活の本拠)を有しないこと(予定)から、納税義務はないこととなります。

2.海外出向する場合の住民税の手続き

 今回のご相談の場合のように、海外出向等により個人の住民税(市県民税)の納税義務者が、納税義務を負う市町村内に住所等を有しない場合においては、納税に関する一切の事項を処理させるため、その市町村の条例で定める地域内に住所等を有する人のうちから納税管理人を定めてこれを市町村長に申告しなければならないと定められています(ただし、その納税義務者に係る住民税(市県民税)の徴収の確保に支障がないことについて市町村長に申請してその認定を受けたときは、納税管理人を定めることを要しないと定められています)。

 上記の納税管理人を設定した場合、個人の住民税(市県民税)に関する書類は、その納税管理人の住所等に送付されることとなり、納税管理人は、その納税義務者に係る住民税(市県民税)の納税に関する一切の事項を処理しなければならないこととなります。

 なお、海外へ出国(転出)する際に納付すべき住民税(市県民税)がある場合は、その出国の時期や徴収方法等により行うべき手続き(納税管理人の設定など)が変わってくることがあるため、事前にお住まいの地域の自治体の個人住民税(市県民税)担当窓口に相談されることをおすすめいたします。

[参考]
地方税法1、20、24、28、32、39、294、300、313、318、319など

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