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旅行業者が主催する海外パッケージツアーの消費税法上の取扱い

[相談]

 私はこのたび、旅行代理店を営む会社を設立しました。
 当社では、自社主催の海外パッケージツアーを取り扱っており、そのツアー代金の内訳は下記のとおりです。

① 国内の出発地から国内の空港までの送迎費用
② パスポート申請事務代行費用
③ 日本と海外との往復航空運賃
④ 海外での移動に伴う輸送費用
⑤ 海外での宿泊費用
⑥ 海外での旅行案内等のサービス提供費用

 上記の内訳(売上げ)について、消費税法上の取扱い(消費税課税売上げとなるのか、そうでないのか)を教えてください。

[回答]

 ご相談の各内訳のうち、①と②については消費税の課税対象(課税売上げ)となり、③から⑥については消費税の課税対象外(不課税売上げ)となります。

[解説]

1.消費税の課税の対象と輸出免税制度

 消費税法では、国内において事業者が行った資産の譲渡等(一定のものを除きます)には、消費税を課すると定められています。

 一方で、事業者(消費税免税事業者を除きます)が国内において行う課税資産の譲渡等(※)のうち、次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除すると定められています(輸出免税)。

① 本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け
② 外国貨物の譲渡又は貸付け(一定のものを除きます)
国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客もしくは貨物の輸送又は通信
④ 専ら輸送の用に供される船舶又は航空機の譲渡もしくは貸付け又は修理で一定のもの
⑤ ①から④に類するものとして一定のもの

(※)課税資産の譲渡等とは、資産の譲渡等(事業として対価を得て行われる資産の譲渡、貸付け、サービスの提供をいいます)のうち、消費税が非課税とされるもの以外のものをいいます。

2.旅行業者が主催する海外パッケージツアーの消費税法上の取扱い

 今回のご質問の海外パッケージツアーのような、旅行業者が主催する海外パック旅行(旅行業者があらかじめ旅行計画を作成し、旅行者を募集するもの:募集型企画旅行)に係るサービスの提供は、その旅行業者と旅行者との間の包括的なサービス提供契約に基づくものであり、国内におけるサービス提供と、国外において行うサービスの提供に区分されることから、次の区分に応じ、それぞれ次のように消費税法上取り扱うものとされています。

(1) 国内におけるサービスの提供
国内輸送又はパスポート交付申請等の事務代行に係るサービスの提供については、国内において行う課税資産の譲渡等に該当するが、上記1.の輸出免税の規定の適用を受けることができない。
(2) 国外におけるサービスの提供
国内から国外、国外から国外及び国外から国内への移動に伴う輸送、国外におけるホテルでの宿泊並びに国外での旅行案内等のサービスの提供については、国内において行う資産の譲渡等に該当しない。

 したがって、今回のツアー代金の各内訳のうち、①と②については国内におけるサービスの提供であることから消費税の課税対象(課税売上げ)となり、③から⑥については国外におけるサービスの提供であることから消費税の課税対象外(不課税売上げ)となります。

[参考]
消法2、4、消基通7-2-6、旅行業法2、観光庁ホームページなど

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