[相談]
私は、令和5年に個人事業(年商見込額400万円)を開始しました。
令和5年分については消費税の納税義務の免除の規定の適用を受ける予定ですが、諸般の事情により、令和6年1月1日を登録開始日として適格請求書発行事業者の登録を受け、同日から消費税課税事業者となる予定です。
そこでお聞きしたいのですが、私の令和5年分の消費税課税売上高が400万円であった場合、私は、令和7年分について消費税の納税義務の免除の規定の適用を受けることはできるのでしょうか。教えてください。
[回答]
ご相談の場合、令和7年分については、消費税の納税義務の免除の規定の適用を受けることはできないものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
1.消費税の小規模事業者に係る納税義務の免除の規定の概要
消費税法では、事業者のうち、その課税期間(※1)に係る基準期間(※2)における課税売上高が1,000万円以下である者については、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等につき、原則として、消費税を納める義務を免除すると定められています(消費税免税事業者)。
※1 個人事業者の場合、原則として、1月1日から12月31日までの期間が課税期間となります。
※2 個人事業者の場合、その年の前々年が基準期間となります。
2.基準期間の課税売上高が1,000万円以下である適格請求書発行事業者の取扱い
上記1.の規定の適用対象からは、適格請求書発行事業者は除かれています。
このため、適格請求書発行事業者である事業者は、消費税免税事業者にはなれないこととなります。
3.免税事業者に係る適格請求書発行事業者の登録申請に関する経過措置
上記2.の規定については、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者(適格請求書発行事業者の登録を受けていないとすれば、上記1.の小規模事業者に係る納税義務の免除の規定の適用がある事業者に限ります)については、適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書を提出し、その登録の取消しを受けることで、原則として、上記1.の小規模事業者に係る納税義務の免除の規定が適用されるという経過措置が設けられています。
ただし、登録開始日の属する課税期間が令和5年10月1日を含まない場合には、(適格請求書発行事業者の登録の取消しを受けたとしても)登録開始日の属する課税期間の翌課税期間から登録開始日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、小規模事業者に係る納税義務の免除の規定は適用されません。
このため、今回のご相談の場合、登録開始日(令和6年1月1日)の属する課税期間(令和6年1月1日から同年12月31日)が令和5年10月1日を含まないことから、登録開始日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間(令和6年と令和7年)については、小規模事業者に係る納税義務の免除の規定は適用されないこととなります。
したがって、令和7年分については、消費税の納税義務の免除の規定の適用を受けることはできないものと考えられます。
[参考]
改正消法9、19、平成28年改正消法附則44、インボイス通達5-1など
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