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《国税庁事前照会回答》保険料負担者(保険契約者)以外の者が受け取る生存給付金の課税上の取扱いについて

 

    このほど、東京国税局では、生存給付金受取人が保険料負担者(保険契約者)以外である場合に
 当該生存給付金受取人が支払を受ける生存給付金の課税関係について、当該生存給付金の支払事
 由の発生の都度、当該生存給付金受取人が本件生存給付金を保険料負担者(保険契約者)から贈与
 により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となるものと解される旨の回答を平成27年5月
 28日付で公表しましたので、その主な内容について紹介します。
 
 1.事前照会の概要及び事実関係
   A保険会社(当社)が販売を予定している生存給付金付特別終身保険(以下「本件保険」とい
  います。)は、終身保険に生存給付金を組み込んだ保険料払込方法が一時払の生命保険契約で
  す。

   本件保険における生存給付金は、「生存給付金支払期間中の毎年の保険年度の満了時におけ
  る被保険者の生存」を支払事由としており、当該支払事由の発生を条件として、当該支払事由
  の発生の都度、保険契約者があらかじめ指定した生存給付金の受取人に当該生存給付金が支払
  われることとなります。

    また、生存給付金の受取人については、保険契約者が保険契約時に保険契約者本人又は保険
  契約者以外の者のうちから1名を任意で指定することとなっているが、当該指定後も、保険契
  約者は、当社に対して通知を行うことにより、その通知以後に生じる支払事由に係る生存給付
  金について、その受取人を変更することができます。

   なお、生存給付金支払期間の途中で被保険者が死亡した場合、被保険者が生存していた場合
  に支払われる残りの期間に係る生存給付金については、死亡保険金として、保険契約者があら
  かじめ指定した死亡保険金の受取人に支払われることとなります(別添「用語の定義」参照)。

   ついては、本件保険における生存給付金のうち、生存給付金受取人が保険料負担者(保険契
  約者)以外の者である場合に当該生存給付金受取人が支払を受ける生存給付金(以下、この場
  合の生存給付金を「本件生存給付金」といいます。)の課税関係については、本件生存給付金
  の支払事由の発生の都度、当該生存給付金受取人が本件生存給付金を保険料負担者(保険契約
  者)から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象になるものと解してよいでしょ
  うか。

2.照会者の求める見解となることの理由


 (1) 法令の規定等
   相続税法第5条第1項は、生命保険契約の保険事故(傷害、疾病その他これらに類する保険事
  故で死亡を伴わないものを除く。)が発生した場合において、これらの契約に係る保険料の全
  部又は一部が保険金受取人以外の者によって負担されたものであるときは、これらの保険事故
  が発生した時において、保険金受取人が、その取得した保険金のうち当該保険金受取人以外の
  者が負担した保険料の金額のこれらの契約に係る保険料でこれらの保険事故が発生した時まで
  に払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分を当該保険料を負担した者から贈与に
  より取得したものとみなす旨規定しています。

   また、相続税法第3条第1項第1号は、相続税法における「生命保険契約」とは、保険業法第2
  条第3項に規定する生命保険会社と締結した保険契約その他の政令で定める契約をいう旨規定
  しています。

   当社は保険業法第2条第3項に規定する生命保険会社であり、また、本件生存給付金に係る支
  払事由(保険事故)は「被保険者が生存給付金支払期間中の毎年の保険年度の満了時に生存し
  ていること」であるため、当該支払事由(保険事故)は、傷害、疾病その他これらに類するも
  のではないと考えます。

   したがって、本件保険に係る契約及び本件生存給付金の支払事由(保険事故)は、それぞれ
  相続税法第5条第1項に規定する生命保険契約及び保険事故に該当するものと考えられます。

 (2) 本件生存給付金の課税関係
   ところで、相続税法第24条には、定期金給付契約に関する権利(給付事由が発生しているも
  の)の評価方法が規定されているところ、相続税法基本通達24-1は、「定期金給付契約に関す
  る権利」とは契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権を
  いい、毎期に受ける支分債権ではなく、基本債権をいう旨定めています。

   ここで、本件生存給付金の支払事由は、上記(1)のとおり、生存給付金支払期間中の毎年の
  保険年度の満了時における被保険者の生存であるため、本件生存給付金の支払請求権は、毎年
  の保険年度の満了時にその都度発生することになります。言い換えれば、本件生存給付金の受
  取人は、毎年の保険年度の満了時までは、本件生存給付金について何ら権利を有しません。ま
  た、本件生存給付金支払期間中における被保険者の死亡により本件生存給付金の支払事由が発
  生しなかった場合、被保険者が生存していた場合に支払われる残存期間に係る生存給付金につ
  いては、死亡保険金として死亡保険金の受取人に支払われることとなり、本件生存給付金の受
  取人が支払を受けることはありません。

   これらのことからすれば、本件生存給付金については、定期金給付契約に関する権利、すな
  わち契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権を取得し、
  これを行使することにより受け取るものではなく、本件生存給付金支払期間中の毎年の保険年
  度の満了時における被保険者の生存という支払事由(保険事故)の発生の都度、本件生存給付
  金の受取人が本件生存給付金を保険料負担者(保険契約者)から贈与により取得したものとみ
  なし、贈与税の課税対象になるものと解するのが相当であると考えます。

◎ これらの詳細については、「国税庁ホームページ>東京国税局>事前照会に対する文書回答
事例>東京国税局文書回答税目別検索>保険料負担者(保険契約者)以外の者が受け取る生存給
付金の課税上の取扱いについて
」でご確認ください。

 

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