代表ブログ

《M&A・事業承継》「会社譲渡」を成功に導く3つのポイント!

事業承継,代表ブログ | 2012年5月17日 木曜日 16:05

[質問]

後継者がいないため、会社を譲渡したいと考えています。

自社価値のつかみ方、交渉方法等について教えてください。

[回答]

ご質問は、会社譲渡を行うに際しての技術的な点をお尋ねですので、

M&Aにおける交渉上のポイントから先にご説明します。

第1のポイントは、秘密保持の徹底です。社内外への情報漏れは、

従業員の不安感・モチベーションの低下や顧客に対する競合他社の営業攻勢など、

経営上の大きな損害につながる恐れがあります。

したがって、交渉相手との秘密保持契約の締結や社内の情報管理体制の徹底といった措置が不可欠です。

第2が交渉相手企業の選定。選定に当たっては、安心して従業員を託せるか、

従業員が納得するかどうか等を最初に検討する例が多いようです。

そして、円滑な事業承継や譲渡後の事業成長のために、交渉相手企業が

事業価値の源泉をどう評価しているかを確認します。

これは相手方の自社価値(株式の譲渡価額、営業譲渡の対価等)への評価とも密接に関係しています。

事業をよく理解し、その価値の源泉を高く評価する相手方企業ほど、

企業価値を高く評価する傾向があるからです。

第3が交渉の手順。M&Aは“法律の束”といってもよく、民商法等の法務面の対応が必要であるとともに、

資料開示、企業価値の評価額、従業員の引き継ぎ、基本条件の提示、合意内容の文書化、

契約書の作成等について、適切な手順で進めることが肝要です。

○総合的視点で合意点を見出す

さて、もう一つのご質問である「自社価値のつかみ方」ですが、価値評価は一物百価の世界であり、

残念ながら万能な方法がないのが実情です。

自社を取り巻く環境や、相手企業が事業をどのように理解し、

その価値の源泉についてどう評価するかによって大きく左右されるからです。

非上場会社の株価評価の方法としては相続税財産評価方式に基づく「(時価)純資産方式」

「類似業種比準方式」「配当還元方式」等があります。

ただし、これを経営権の譲渡である「会社の譲渡」の対価計算に際して採用することが妥当かどうかは、

状況に応じてよく検討する必要があります。

非上場会社のM&Aにおける価値評価方法には、業界に特有の営業権の概念があればそれも加味し

資産を全て時価に洗い直す時価純資産方式や、対象企業が将来生み出すと想定される

キャッシュフローをベースに企業価値を算定する「DCF方式」などがあります。

実際のM&Aでは、評価の目的と交渉の状況に基づいて双方が納得する複数の評価方法を選択し、

それらの評価結果を総合的に勘案することで、お互いの合意点を見出しています。

「有価証券」「ゴルフ会員権」「棚卸資産」「売掛金」等に関する評価損益、「固定資産」の減価償却不足は、

企業価値の調整項目となります。また、製造業の場合は、土壌汚染に関する調査を実施し、

その結果を評価に反映させることになるので注意が必要です。

中小のオーナー企業に特有の企業評価上のポイントとしては、「取締役の報酬」があります。

オーナーの報酬水準が高めに設定されている場合やオーナーの家族が取締役をつとめている場合、

M&A後にはその分の取締役の報酬が減額されることから、将来利益のプラス要因として交渉する事例もあります。

会社譲渡の秘密を保持しながら適切な交渉相手を見つけ出すことは非常に難しく、

また納得のいく交渉を適切な手順で行い、状況に適した企業価値を評価するためにも、

専門家に相談されることをお勧めします。

【事業承継】 幹部社員に社長の座を譲りたい

事業承継,代表ブログ,資金調達 | 2010年6月11日 金曜日 16:06

Q1

 親族ではない幹部社員に事業承継したいと考えています。注意点を教えてください。

A1

 幹部社員に事業承継するという場合に生じる問題点や対応策について、「ヒト」「モノ」「カネ」という視点で考えてみましょう。

 まずヒトの問題です。承継においては社内外からの反発や「やっかみ」がつきもの。だからその選定理由や決定までのプロセスを明確にするべきです。関係者の理解や納得が得られないと、その後の協力体制に不安が残ります。早期に後継者を決定し、時間をかけて理解を得るようにしてください。

 特に金融機関においては、現在の経営者に対する信用を前提に取引があることを忘れてはなりません。今後のスムーズな承継のためには後継者の経営能力や信用力、保証能力等について相談したり、早めに紹介し気心しれた間柄になるよう積極的にコミュニケーションをとることが大切です。

 次にモノについては、何といっても自社株対策が重要となります。後継者として身分の安定を確保させ支配権を移転させるためには、ある一定の株数を後継者が取得しなければなりません。その方法としては「贈与」も考えられますが、通常は「譲渡」です。よって買取資金の問題が生じます。これまで資産形成があまりされていない幹部社員が一気に株を取得するのはかなり難しい。そこで早いうちから自社株の評価を行い、計画的に取得する必要があります。

 ちなみに中小企業経営承継円滑化法における金融支援には、後継者となる親族外であるその会社の役員や従業員が、既存の株主から株式を取得するための資金の融資を受けることができる制度があります。もちろん審査がありますから必ず実行されるとは限りませんが、資金調達方法として検討してみてはいかがでしょうか。また承継後の経営方針の急な変更や暴走が心配な場合は、拒否権付種類株式等を取得しておくことで備えることも必要です。

 最後にカネの問題です。中小企業が借入をする場合、保証人と担保の問題が必ず出てきます。信用力にもよりますが、保証人については、現経営者に加え後継者も追加で入ることが多いようです。そして担保についても資産価値が下落している昨今、担保不足となっていると後継者にも担保差入れが求められる場合があります。また新たな借入分からは前経営者に代わって個人保証や担保差入れが求められることになるでしょう。これは親族外の後継者にとって物的のみならず精神的にも相当の重荷になります。このことから「後継者に指名されても負担感からやむなく辞退する」ということにつながるのです。

 一番の対応策はその“重荷”を減らすことです。債務の圧縮及び財務体質の強化を事業承継計画の中で明確に方針として打ち立て、承継時に後継者の負担を軽減させることしかありません。また保証人や担保については、粘り強く金融機関と交渉することや承継後もしばらく相談役等として会社に残る配慮も必要です。さらに後継者が保証人になったり担保を差入れた場合には、それに見合った役員報酬の増額等を図り、万が一の事態に備える思いやりが大切となります。何より負担がない、魅力ある継ぎたくなるような会社づくりをすることが最大の経営者の役割といえます。また、一つのアドバイスとして、きたるべき承継に向けて事業承継計画を策定することをお勧めします。その際には、TKC全国会が推奨する「経営承継基本方針書」(http://www.tkcnf.or.jp/08keieisha/shoukei/policybook.html)を参考にするとよいでしょう

【事業承継】 後継者の親族外役員に自社株式を売却するには

事業承継,代表ブログ | 2010年5月19日 水曜日 11:05

Q1
 跡継ぎがいないため、長く右腕として働いてくれている役員に自社株式を売却し、事業を承継させたいと考えています。そのための手続きと注意点を教えてください。

A1
 まず、取得される役員の意思をよく確認する必要があります。株式を保有することは「経営権を持って、経営にあたる」ことであり、その意識があるかをよく話し合われた方が良いでしょう。

 次に、譲渡する株式が譲渡制限株式であるかどうかを確認する必要があります。譲渡制限株式とは、定款において「株式の譲渡には会社の承認が必要」(譲渡制限)の規定を置いている会社の株式という意味です。その譲渡制限株式かどうかは、会社の定款もしくは登記簿謄本を取り寄せれば確認することができます。一般的に中小企業においては、その株式について譲渡制限の規定を置いている場合がほとんどでしょう。

 もし仮に譲渡制限株式でなかった場合は、原則として契約等で自由に譲渡することが可能です。しかし一方で、株式が自由に譲渡可能だとリスクは高くなります。望ましくない者を「制限」することができないからです。もしも規定が設けられていない場合には、株主総会決議において定款を変更し、譲渡制限の規定を設けることを検討された方が良いでしょう。

 では、譲渡制限株式の譲渡の手続き(会社の承認)を説明します。

 会社の承認を受けるためには、取締役会が設置されている会社にあっては原則として取締役会、取締役会が設置されていない会社では原則として株主総会にて承認を受ける必要があります。承認を受けなければならない内容は、「譲渡(または取得)する株式数」「相手の氏名や名称」などです。仮に承認されなかった場合には、会社自身がその株式を買い取るか、会社が別の譲渡先を指定するかの2つしかありません。いずれにしても、当事者が望む相手に譲渡することはできなくなります。したがって、取締役会または株主総会にて承認決議を受けなければなりません。また、譲渡を受ける人が「株主総会などにおいて、望ましいと思われているか」という点は、改めて検討しておく必要があると思います。社長のみが株主であり、取締役であるという会社では問題ないでしょうが、そうでない場合には注意が必要です。

◎譲渡株数・株価に留意する

 譲渡承認を受ける場合、または実際に譲渡する場合にもう一つ問題となるものとして、譲渡価格(株価)と譲渡株数の問題が挙げられます。譲渡価格に関しては、いろいろな考え方や理論があり、これといったスタンダードな計算方法が確立されているわけではありません。しかし今回は、社長から役員への譲渡であり、影響の大きい税法(所得税法や法人税法)を基礎に述べていきます。

 今回の場合、社長が保有していた全ての株式(少なくとも株式数の50%超を保有していると想定)を譲渡するものと考えられます。その場合、市場の相場のない株式の譲渡価格は、いわゆる1株あたりの純資産価額に基づいて計算されることになります。純資産価額は、直近事業年度末の貸借対照表を元に、もし土地や上場有価証券などを保有していれば、その事業年度末の価額(時価)に評価替えしたうえで計算されます。土地などの時価が多額の含み益を抱えていた場合、株価も高額になってしまうことがあります。その場合には役員の資金負担が可能かどうかも検討しなければならないでしょう。

 もしもその譲渡価格(時価)よりも低い価額で取引した場合には、役員側で贈与税の問題が出てきてしまいます。自社株式を当初の発行価額などで取引してしまうケースも多く注意が必要です。

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